トランプ政権、洋上風力発電事業でまた開発阻止へ-業者リスク顕在化
- 米内務省、メリーランド州沖のプロジェクト許可取り消す方針
- トランプ氏、再生可能エネルギーとの闘いで特に風力発電を標的に
トランプ政権は、メリーランド州沖で計画されている洋上風力発電プロジェクトの開発阻止に向けて動いている。再生可能エネルギーに対するトランプ大統領の攻撃が激しさを増している新たな事案となる。
米内務省は、60億ドル(約8900億円)規模の「メリーランド洋上風力発電プロジェクト」に関する許可を取り消す方針であることが、22日の裁判所向け提出資料で分かった。USウィンドが開発を進めるこの事業は、メリーランド州オーシャンシティ沖約10カイリに最大114基の風力タービンを設置する計画。2024年にバイデン前政権が承認し、来年に着工予定だった。
トランプ大統領は、再生可能エネルギーとの闘いの中で特に風力発電を標的にし、鳥の命を奪う目障りなものとたびたび批判してきた。トランプ氏は就任初日、連邦政府が管理する海域について新たなリースを無期限で停止。その後、トランプ政権は連邦政府管理の土地・水域について全ての開発許可を凍結している。
今回の動きは、米国の洋上風力発電事業者がトランプ政権の管理する海域でしか建設できないリスクを改めて浮き彫りにした。内務省は22日、デンマークの洋上風力発電事業者オーステッドがロードアイランド州沖で建設中の洋上風力発電所について建設停止を命じた。工事は既に8割完成していた。発表を受け、同社株は過去最安値に下落した。
4月にはバーガム内務長官がニューヨーク州沖でノルウェーのエネルギー大手エクイノールが進める50億ドル規模の「エンパイア・ウィンド」事業の工事中止を命じた。だが、米政権がホークル州知事と州内での新たなガスパイプライン建設に道を開くことで合意に達したことを受け、1カ月後に決定を撤回した。
USウィンドはアポロ・グローバル・マネジメントが運営するファンドとイタリアのトト・ホールディングの子会社が所有する。今回の案件についてバイデン前政権は承認当時、原子炉約30基分に相当する洋上風力発電能力の整備計画の一環と説明していた。
原題:Trump to Halt Development of Another Offshore Wind Farm (2)(抜粋)