泳げない子が増えた?水泳授業の廃止や民間委託が進む理由 #エキスパートトピ

なかのかおりジャーナリスト、早稲田大参加のデザイン研究所招聘研究員
(写真:イメージマート)

学校の水泳授業が始まる時期だ。近年では、温暖化により気温が高すぎて水泳授業が中止になったり、学校のプール施設の老朽化等の影響で、水泳授業のあり方も変わっている。

暑くなると、水難事故の報道が増える。保護者が「子どもが水に慣れ、ある程度は泳げるようになってほしい」と望んでも、学校に期待しにくい。ならば、室内プールでプロに習う方が確実だと、学校外のスイミングスクールを選ぶ家庭もある。選択肢が広がるのはいいが、経済的な事情やスクールがないなど通えない場合もあり、学校で水泳授業があるのが望ましいと考える人もいる。

ココがポイント

暑すぎてプールができない 老朽化でプールを使えない どうなる学校のプール授業 民間委託には課題も出典:TBS NEWS DIG 2024/7/9(火)

民間企業に水泳授業を委託しては?という意見は20%を超えた出典:Surfvote 2024/8/21(水)

小学校の水泳授業「民間委託」が本格スタート 温水プールでインストラクターが泳力別指導 担任は安全確認に集中出典:RKB毎日放送 2025/5/30(金)

日焼けや肌の露出を嫌がり、プールに入らない子どもが増えている出典:FNNプライムオンライン 2025/6/7(土)

エキスパートの補足・見解

ある学校では、プールの維持管理費は、改修費用や水道代など年間平均でおよそ870万円。民間委託の場合、移動のバス代や指導料を含めてもおよそ450万円と半額近くだという。人手が足りないという現場も多い。

地域のスイミングスクールなどは、コロナ禍を経て経営が厳しい。そうしたところを活用して、プロに教えてもらったり、天候に左右されない施設で水泳の授業をしていくのもいいと思う。だが学校の近くに民間や公営のプールがない場合は難しい。受け入れ可能な施設には限りがある。

また最近では、肌の露出や日焼けに関して、気にする子が増えている。ラッシュガードや男女兼用の水着もあるが、ジェンダーや日焼け防止の観点から学校の水泳授業が敬遠されるケースも。

ある読者はこう提案している。「子供の水難事故を防ぐ、子供の命を守るという観点からすれば、水泳の授業を維持すべきであり、これは民間のスイミングスクールではなく、学校で教えるべきだと思います」。一方で、お楽しみや夏の風物詩としての学校プールは、変化の時が来ているようだ。

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