チェルノブイリの立入禁止地区で「青く変色した犬」が目撃され話題に…やっぱり放射能が原因?(ニューズウィーク日本版)

チェルノブイリ原発事故現場で発見された「青い犬」。その謎が解明されたかもしれない。 【動画】チェルノブイリ原子力発電所周辺の立ち入り禁止区域周辺で目撃された青い犬 ウクライナのチェルノブイリ原発事故現場で最近、鮮やかな青い毛を持つ犬が発見され、その動画が拡散された。視聴者はその原因が放射線によるものか、あるいは人工知能による加工かとさまざまな憶測を飛ばした。 しかし、現地で活動する獣医は、謎の解明に至ったとしている。 非営利団体「クリーン・フューチャーズ・ファンド」に属し、核災害の長期的な影響に苦しむ地域社会を支援する「ドッグス・オブ・チェルノブイリ」プログラムの獣医師ディレクター、ジェニファー・ベッツは本誌に対し、チームが青い物質にほぼ全身が覆われた3頭の犬と遭遇したと語った。 「ドッグス・オブ・チェルノブイリ」は、1986年の原発メルトダウンによる避難後に取り残され、そこから数世代を経た犬たちを捕獲して不妊手術を施し、再び自然に返すため、10月5日から13日にかけて現地を訪れていた。だが今回の訪問では、青く染まった犬の姿に、チームも困惑させられた。 「これらの犬を何度も捕獲しようと試みた。しかし、人間を非常に恐れており、吹き矢を使わなければ捕まえられない」とベッツは語る。「残念ながら、今回は青い犬を捕獲できなかった」 「ドッグス・オブ・チェルノブイリ」は青い犬の映像をSNSで公開し、多くの視聴者が関心を寄せた。映像はすぐに話題となり、その鮮やかな色合いが人々の注目を集めた。視聴者はAIやフィルターによる加工、放射線被曝など疑ったが、「ドッグス・オブ・チェルノブイリ」は特段の警戒はしていない。

「犬を青く染め上げた物質は、犬たちがいた場所にあった古い簡易トイレにあったものだろう」とベッツは述べた。「ただし、現時点ではその仮説を確実に裏付けることはできていない」 彼女は、犬が青くなった現象は、チェルノブイリの放射線と「まったく関係がない」と強調した。また、今回の青い犬たちを含め、現地の犬たちは健康に見えたという。 「もし犬が毛についた物質を大量に舐めとらなければ、ほとんど害はないと思われる」 「ドッグス・オブ・チェルノブイリ」は、放射能汚染区域で暮らす犬や猫たちに、食料や獣医療を提供するだけでなく、その個体数のモニタリングも行っている。2017年以降、同プログラムは約49平方キロメートルに及ぶチェルノブイリ立入禁止区域内に住む1000頭以上の犬や猫の不妊手術を実施してきた。 「クリーン・フューチャーズ・ファンド」の推計によると、原子力発電所周辺にはおよそ250頭の野良犬が生息している。そのうち225頭がチェルノブイリ市に、さらに数百頭が立入禁止区域全体に分布しているという。 「ドッグス・オブ・チェルノブイリ」は今も活動を継続している。その活動の中で、青い犬の真相が明らかになることが期待される。

リズ・オコンネル

ニューズウィーク日本版
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