ロシアの戦争遂行を支えるベラルーシの国際ネットワーク イランや中国が進出する理由は

ロシア政府は「9.11」前後のデリケートなタイミングで西側諸国との緊張を煽ることに固執しているようだ。ロシア軍の無人機によるポーランド領空侵犯や、ベラルーシ領内で9月12日から16日まで約1万3000人の兵士を動員して行われているロシア・ベラルーシ合同軍事演習「ザパド」(ロシア語で「西方」の意味)が、それを物語っている。 ロシアとベラルーシは2009年以降、ほぼ定期的に合同演習を実施している。ロシアがウクライナに侵攻する直前の2021年に行われたザパドには20万人の兵士が動員された。合同演習のたびに西側諸国では、ベラルーシ経由でロシアがウクライナに新たな側面攻撃を仕掛ける恐れが声高に取りざたされる。 だが、この脅威が現実となったことは一度もない。オブザーバー参加国が少数ながら存在するためだろう。何より、ベラルーシに強権体制を敷くルカシェンコ大統領は、戦争という特に軍内部から非常に強い反発を招く危険な賭けに打って出ることで、その安泰な地位がおびやかされるのを嫌っている。 要するにザパドは一種の儀式であり、上海協力機構(SCO)の首脳会議における記念撮影と同じく、主に世界に向けた結束の誇示にすぎないのだ。 とはいえ、ベラルーシがウクライナの脅威となってはいないとか、ロシアの戦争遂行を具体的・実質的に支援していないなどと結論づけるべきではない。むしろ逆だ。 ベラルーシは二次的な武器製造拠点として機能し、中国とイランの武器産業が前哨基地を構えて軍需物資を生産している。追跡が困難なため、どれだけの物資がウクライナの前線まで届いているかは不明だ。しかし、現実を示唆するデータは存在する。 ロシアのウクライナ侵攻以来、ベラルーシは自国とロシア、イラン、さらには中国をもまたぐ軍事産業ネットワークの要として台頭した。2022年1月~23年1月にベラルーシからロシアの支配地域へと輸送された弾薬は13万582トンに上る。 2022年2月のウクライナ全面侵攻後、この輸送量は急増し、3年足らずでベラルーシ経済のロシア依存度は著しく高まった。2021年以前は全輸出に占める割合が40~50%だったのが、2023年半ばには60~70%に達し、一部分野では90%を超えている。 弾薬に加え、ベラルーシからロシアへの軍事輸出には以下が含まれる。 - 自走式プラットフォーム・車両 - 軽工業製品 - 防御設備 - 爆発物 - レーダー・光学電子機器

Forbes JAPAN
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