大谷ドジャースは地区Vでも「第3シード」に落とし穴…ワイルドカードS突破には懸念材料が山積(日刊ゲンダイDIGITAL)|dメニューニュース

 ナ・リーグ西地区の優勝争いが混沌としている。

 日本時間10日は首位ドジャースがロッキーズに快勝。2位パドレスはレッズに敗れ、ゲーム差を2に広げた。ド軍は7ゲーム差で3位につけているジャイアンツと7試合を残しており、地区優勝争いは最後までもつれそうだ。

 仮にドジャースが地区4連覇を果たしても、現状では地区優勝3チーム中、最低勝率(.559)の「第3シード」でポストシーズンに進出し、ワイルドカードシリーズ(WCS=3回戦制)はワイルドカード(WC)3チームで最も勝率が低い東地区2位のメッツ(.524)と対戦する。

 球団史上初のワールドシリーズ連覇を狙うド軍にとっては、WCSで強いられる負担は計り知れない。フィジカルの負担、精神的重圧を減らすためにも、地区優勝チームの勝率上位2チームの第1シードか第2シードに入り、地区シリーズ(5回戦制)から登場した方が得策ではある。

 大リーグに詳しいスポーツライターの友成那智氏がこう言う。

「ドジャースはスネル、グラスノーの左右の両エース格が故障から復帰し、大谷も含めた先発ローテが揃ったものの、8回3分の2まで無安打無得点を続けた山本の好投をフイにしたリリーフ陣の不安は否めません。今季は開幕から守護神を置かず、その時点で好調な救援投手がかわるがわるクローザーを務めてきましたが、セーブ失敗は23度でリーグワースト4位。守護神不在の上に、救援陣の疲労がピークに達しているだけに、このままポストシーズンに突入するようでは勝機を掴みにくい。

ましてや今季のポストシーズンの日程はタイトで、WCSはレギュラーシーズン最終戦の28日(現地時間)から中1日で30日に開幕する。救援陣は38歳で最年長のイエーツを筆頭にトライネン(37)、スコット(31)、バンダ(32)らベテランが揃うだけに、投手陣のコンディションを整えるためにも、勝率6割超えのブルワーズは無理でも、フィリーズ(.586)と入れ替わって第2シードに入るしかありません」

ロースターの平均年齢は一番上

 ドジャース(勝率.605)が4年ぶり8度目の世界一になった昨季は、ワールドシリーズでヤンキース(同.580)と両リーグの最高勝率チーム同士の対戦が実現した。その一方で、3チームがWCで出場可能になった22年以降、勝率3位の地区優勝チームは分が悪い。昨季はブルワーズ、アストロズともワイルドカードで勝ち上がってきたメッツ、タイガースにWCSで早々と敗れた。23年は同様にブルワーズがダイヤモンドバックス、22年はカージナルスがフィリーズに敗れて、ナ・リーグの勝率3位はいずれもWCSで姿を消しているのだ。

 WCでポストシーズン進出を果たしたチームは早々と地区優勝を決めたチームとは異なり、レギュラーシーズン最終日までもつれるケースが少なくない。ポストシーズン進出争いの緊張感、勢いをそのままにWCSに臨むだけに下克上が起きやすい。WCから勝ち上がるチームは若手が大半を占めて勢いに乗りやすいが、今季、ド軍のロースターの平均年齢は30球団トップの31歳2カ月。ベテランが多いだけに爆発的な勢いで勝ち上がるのは難しい。投打の二刀流である大谷のパフォーマンスに期待するしかないのだ。

 ロバーツ監督は8日に配信されたABEMAのインタビューで投手大谷について触れ「リハビリはもう終わり。9月に入れば6回まで投げてほしい」と、あらためてポストシーズンは先発として起用すると明かした。

「ポストシーズンでは投打のリアル二刀流に復帰した大谷と開幕からローテを守っている山本の2人が軸になるはずです。レギュラーシーズンは投手の負担を考慮し、中5日以上の登板間隔をあけますが、ポストシーズンでは大谷と山本に関してはWCSから、中4日で起用する可能性もあります。大谷、山本とも中4日での登板経験はなく、ただでさえ大谷は心身の負担が大きい二刀流をこなしているだけに、故障リスクは避けられない。初めて経験するポストシーズンでのマウンドでパフォーマンスを発揮しきれるかどうかは未知数と言わざるを得ない」(前出の友成氏)

 5連敗を脱した8日のオリオールズ戦から3連勝とした指揮官は「先発陣はこれからが重要だと意識している。捕手もプレーオフのような視点で試合を組み立て、守備も集中できている。打線もそれに追いついてきている」と手応えを口にした。

 今後もナ・リーグのライバルとの熾烈な争いが続く。たとえ地区優勝しても、第3シードでは苦戦を強いられかねないということである。

  ◇  ◇  ◇

 ところで、佐々木朗希は大谷の活躍を内心、苦々しい思いで見ているのではないか。投打でフル回転し、チームのために身を削るその姿は、自身とは正反対。しかも大谷はことあるごとに「フォア・ザ・チーム」を強調しており、本人にその気があるかはともかく、結果的に期待を裏切り続ける佐々木への痛烈な皮肉になっているからだ。いったいどういうことか。いま、何が起きているのか。

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