ありがとうリバティアイランド 力強く愛らしい名牝のありし日の姿
令和の名牝が思いがけず異国の地でこの世を去った。
2023年の3冠牝馬リバティアイランド(栗東・中内田充正厩舎、牝5歳、父ドゥラメンテ、母ヤンキーローズ)が、4月27日に行われた香港GI・クイーンエリザベスⅡCで無念の競走中止。栄光のゴールを目指し、懸命に走っていた最後の直線で故障を発生。左前脚の種子骨靭帯の内側と外側を断裂し、球節部を亜脱臼し、予後不良の診断を受けて安楽死の処置が取られた。
鞍上の川田将雅騎手はその場で下馬し、愛する鹿毛馬の顔を抱きしめるほかなかった。リバティアイランドは途方に暮れるジョッキーの姿を大きな瞳に映しながら、〝相棒〟を気遣うように痛みをこらえて気丈に立っていた。
最後まで芯の強さを見せた女傑は、日本競馬史上7頭目となる牝馬3冠を達成した。
母ヤンキーローズの馬名からイメージし、ニューヨークを象徴する自由の女神像が建っている名所「リバティアイランド」と命名された。デビュー後はその名のごとく、自由闊達な走りで22年の阪神JFを制し、絶対女王として牝馬クラシックへ。桜花賞、オークスを期待どおり優勝し、3冠目の秋華賞は早め先頭に立つ横綱相撲で圧倒した。38歳の誕生日に3冠ジョッキーとなった川田騎手は「神様がくれた最上のプレゼント」と同じ時代に生まれてきてくれた愛馬に感謝。その年、3冠牝馬の看板を背負い、ジャパンCで世界最強だったイクイノックスの2着に健闘した。
4歳時はドバイシーマクラシック3着、香港C2着となり、5歳の初戦はドバイターフで8着に。秋華賞以来のGI勝利を目指し、海外競馬に果敢に挑戦する中、香港が終(しゆう)焉(えん)の地となった。
リバティアイランドが天に旅立った翌日、川田騎手はSNSで追悼。デビュー戦からコンビを組み、尊敬と愛情を込めて〝お嬢さん〟と呼んでいたジョッキーは「彼女は最後まで全力で頑張ってくれました。転ぶことなく耐えてくれ、最後まで僕を守ってくれました。止まってからも、気丈に穏やかに振る舞ってくれ、強すぎるくらい強く、賢い子でした」とそのたぐいまれな魂をたたえた。
国内外で牡馬と戦った力強い女傑だった。一方、髪飾りをつけた三つ編みの前髪がトレードマークで、とびきりのかれんさを備えていた。
生まれ故郷の北海道・安平町のノーザンファームでは今年2月、母ヤンキーローズがイクイノックス産駒の元気な牝馬を出産。2歳の半妹コニーアイランド(父コントレイル)は姉と同じ栗東・中内田厩舎でデビューを目指している。
リバティアイランドの血も希望も夢も続いていく。
ありがとう、安らかに。そして忘れない。
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