「右でなく左のエンジン停止」…韓国・済州航空機事故「パイロットの判断ミス」と結論付けた事故調(KOREA WAVE)
【07月28日 KOREA WAVE】韓国・務安国際空港で2024年12月29日に発生した済州航空機(7C2216便)の事故について、航空・鉄道事故調査委員会(事故調)は、バードストライクによりエンジンが損傷を受けた後、パイロットが火災が発生した右側ではなく左側のエンジンを誤って停止させたと結論付けた。 事故調は7月19日午後、務安国際空港で遺族を対象に事故のエンジン精密調査結果を発表したが、遺族の反発により報道機関向けの記者会見は開かれなかった。 調査は韓国が主導し、アメリカやフランスの調査当局、エンジン製造元であるフランスのサフラン社とともに合同調査団を編成。2025年5月12日から6月4日までの18日間、エンジンをフランスに搬送して精密検査を進めた。 その結果、エンジン自体の欠陥は確認されなかったが、左右両方のエンジンに鳥との衝突による損傷が認められ、特に右側のエンジンの内部損傷がより深刻だった。事故発生当時、両エンジンには振動が確認されたが、飛行可能な程度の作動状態だった。 しかし右エンジンでは圧縮機の損傷による「サージ(圧縮機内の空気の流れが不安定になり異常燃焼を起こす現象)」が発生し、大きな火炎に至ったとされる。 事故調はパイロットが非常事態を宣言した後の緊急手順の中で、火災が起きた右側エンジンではなく、誤って左側エンジンを停止させたことを、コクピット音声記録装置(CVR)、飛行データ記録装置(FDR)、エンジン精密検査の結果から確認したと説明した。 事故機は右エンジンに異常を抱えたまま19番滑走路に胴体着陸しており、着地直前にエンジンが飛行可能な出力で稼働していたことが音響分析で確認された。これにより、事故調はパイロットの判断ミスが事故を招いたと判断している。 一部報道によれば、左側エンジンと連動する「ファイヤーハンドル(火災時に燃料供給を遮断する装置)」が引かれていたことが確認された。航空業界によると、非常マニュアルでは火災が検知された際にファイヤーハンドルを操作するよう定めており、パイロットが火災拡大を防ぐために左エンジンを停止した可能性もある。 また、事故調は機内の電力供給停止やランディングギア(着陸装置)が作動しなかった点についても、エンジン停止によって電力が供給されなかったことが原因とみている。 これに対し、遺族側は最終4分間のCVRおよびFDRの音声公開を求めている。遺族会のキム・ユジン代表は「事故原因の調査過程と証拠となる事実を明確に公開すべきだ。遺族も参加できる公聴会を開催してほしい」と訴えている。 一方、パイロット労働組合連盟は事故調の発表に対し、「パイロットの緊急処置に関する正確なデータを示さず、エンジンを停止したという一点だけを強調している」と批判した。さらに「務安空港は他の空港と異なり、空港全体が国土交通省の管理下にある。国も事故の責任から自由ではない」と国の管理体制を追及した。 (c)KOREA WAVE/AFPBB News
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