米CPI、インフレ根強くても市場は利下げ楽観視の見通し-24日発表

株式トレーダーは、24日に発表される米国の9月の消費者物価指数(CPI)で、根強いインフレの兆候が見られたとしても、それを無視する可能性が高い。市場では、29日の連邦準備制度理事会(FRB)の利下げへの楽観論が支配的なためだ。

  JPモルガン・チェースのトレーディング部門は、エコノミストがインフレ率の上昇を予想している一方で、発表後にS&P500種株価指数が約65%の確率で上昇するともみている。グローバルマーケットインテリジェンス責任者のアンドリュー・タイラー氏ら同チームは、CPI発表日の株価について「通常よりも変動が少ない」シナリオを示している。投資家は29日に連邦公開市場委員会(FOMC)で再び金融緩和が行われると予想しており、インフレ関連の不安は相殺される可能性が高いという。

  タイラー氏は、22日の顧客向けリポートで「私たちは市場の見方に同意しており、FRBを脇に追いやるには、最大限のテールリスクが必要だと考えている」と記した。

  ブルームバーグの予測調査によると、エコノミストは、変動の激しい食品とエネルギーを除いたコアCPIが、前月から0.3%上昇すると予測している。これは前年同月比3.1%の上昇にあたり、8月に続き、FRBが目標とする2%を大きく上回る。

  CPIの総合指数は前月比0.4%上昇、前年同月比3.1%上昇と、8月をやや上回ると予想されている。

  1日に米国の政府機関閉鎖が始まって以来、CPIは初めて発表される主要経済指標で、投資家にとって極めて重要な意味を持つ。FOMC前に経済状況を示す、数少ない明確な指標の一つであり、年末までの市場の基調を決定づける可能性が高い。

  タイラー氏らによると、CPIが予想通りか予想を下回る数値なら、24日のS&P500は最大1.5%上昇する見込みだ。一方で、コアインフレ率が前月比0.4%以上上昇し、過熱が見られれば、最大2.3%前後の下落を引き起こす可能性がある。

  ウォール街のプロたちは、労働市場に亀裂の兆しが見られる中、年内にあと2回の利下げが行われると広く予想している。そのうち1回は29日にほぼ織り込み済みだ。ただし、24日に予想を上回るCPIの数値が発表されれば、年末から2026年にかけての追加利下げの見通しは複雑化する可能性がある。

  ウェルズ・ファーゴ投資研究所のグローバル株式・実物資産部門責任者、サミーア・サマナ氏は「インフレのデータが予想を上回れば、12月の会合で利下げを見送る可能性もある」との見方を示した。また、「現在の焦点は、冷え込みが続く労働市場にあるため、10月の利下げは妥当だ。だが、その後は不透明感が強まる。とはいえ12月にも利下げされると見ている」と述べた。

原題:Hotter CPI Unlikely to Deter Rate Cuts, S&P 500 Rally — For Now(抜粋)

— 取材協力 Jess Menton

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