ロシア・ウクライナ、戦死者遺体返還と捕虜交換で合意 停戦案進展なし
[イスタンブール/キーウ 2日 ロイター] - ロシアとウクライナは2日、トルコのイスタンブールで和平に向けた2回目の 直接協議を 行い、新たな捕虜交換のほか、合計1万2000人の戦死者の遺体の相互返還について合意した。ただ、ウクライナのほか欧米がロシアに受け入れを求めていた停戦案を巡る進展は得られなかった。
ロシア交渉団を率いたメジンスキー大統領補佐官は協議終了後、記者団に対し、完全停戦に向けロシアが提案する条件の詳細を記した覚書をウクライナ側に手渡したと述べた。また、戦死した兵士の遺体を収容するために「前線の特定区域」で2、3日間の停戦を実施することも提案したと明らかにした。ロシアとウクライナはそれぞれ6000人の戦死者の遺体を互いに引き渡すという。
また、5月にイスタンブールで行われた1回目の直接協議で合意した1000人ずつの捕虜交換に続き、一段と大規模な捕虜交換の実施でも合意したと明らかにした。
ウクライナ交渉団を率いたウメロフ国防相は、ロシアから和平合意案を受け取ったと確認。ウクライナも独自の案を作成しており、ロシアの提案を検討すると述べた。
また、ウクライナは6月末までに一段の協議を実施することを提案しているとしながらも、全ての重要な問題を解決するにはウクライナとロシアの首脳レベルの会談が必要との考えを示した。
トルコのエルドアン大統領は「ロシアのプーチン大統領とウクライナのゼレンスキー大統領によるイスタンブール、もしくはアンカラでの会談の実現を望んでいる」とし、「同会談に米国のトランプ大統領も招待したいと考えている」と言及。「今回の協議を経て、実現に向けた措置を取っていく」と語った。
協議を受け、ゼレンスキー大統領はオンライン形式で行った記者会見で、ウクライナとロシアは新たにそれぞれ1000人の捕虜を交換することで合意したと表明。双方が交換の対象にしたい人物のリストを互いに提供することで合意したという。さらに200人の捕虜を交換する可能性もあると述べた。
このほか、ロシアが連れ去ったとされているウクライナの子どもについて、ウクライナへの帰国を求める約400人のリストをロシアに提出したと明らかにした。ロシアはこのうち10人の帰国に向けて取り組むことに同意したという。ウクライナ当局者によると、ロシア軍によってウクライナ領土から強制的に連れ去られた数百人の子どもたちの帰還をウクライナは和平合意の一環として求めている。
ロシアとウクライナは5月16日にイスタンブールで1回目の直接協議を実施。大規模な捕虜交換で合意したものの、ウクライナが要求する停戦で合意できず、両国間の隔たりを縮めることはできなかった。
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