危険な違法電動モペットが野放し! 無責任すぎる利用と販売が招く事故急増と摘発7.3倍の現実
街中をクルマで走っていて、自車の速度が50㎞/h程度出ている時に、それを追い抜かんばかりで爆走する電動自転車を見かけたという人は多いのではないだろうか。それこそ、今問題となっている「ペダル付き電動バイク(電動モペット)」だ。今回は、正しい手続きや部品装着を行わずに走行する違法な電動モペットの問題について斬る!
文:ベストカーWeb編集部/写真:ベストカーWeb編集部、Adobestock
【画像ギャラリー】無責任すぎる! 危険な違法電動モペットの走行実態を見る(4枚)こちらは都内で撮影した違法な電動モペットの走行。利用者は若者や外国人の割合が高く、違反であることを知らないケースや、罪の意識が薄いケースが多い
警察庁によると、モペットによる人身事故は2024年に68件を確認。摘発数は2538件で、前年比7.3倍に上っている。違反の内訳はナンバープレートなしが最多の778件、次いで無免許(526件)、ヘルメット未着用(505件)と続く。
しかも、30km/h上限の原付バイクをぶっちぎる速さで走るのに、いまだに自転車のように取り扱われているのが現状だ。
読者の皆さんのなかにも、「電動アシスト自転車」と、問題となっている「ペダル付き電動バイク」の区別がつかないという人もいると思う。実は、取り締まりを行う現場の警察官もわかっていない……という話もある(それじゃ困るのだが……)。
こちらが一般的な電動アシスト自転車。最近はスポーツタイプのものも登場しているが、基準に合った車両は24km/h以上ではアシストがゼロになる(naka@Adobestock)
まずは、法律で定められた、「電動アシスト自転車」と「ペダル付き電動バイク」の基準を見てもらいたい。【電動アシスト自転車】[1] 電動機であること[2] 24km/h未満の速度で、自転車を走行させることとなる場合において、人の力に対する原動機を用いて人の力を補う力の比率が、下記に定める数値以下であること。・10㎞/h未満の速度ではアシスト比率1:2以下であること・10㎞/hから24㎞/h未満の速度では、速度の上昇に比例して減少すること[3] 24km/h以上の速度で、自転車を走行させることとなる場合において、原動機を用いて人の力を補う力が加わらないこと(アシスト比率が0)。
[4] [1]から[3]までのいずれにも該当する原動機について、[1]から[3]までのいずれかに該当しないものに改造することが容易でない構造であること。
警視庁のホームページに掲載されている、電動アシスト自転車の速度ごとのアシスト力と人力の比率を示したグラフ
【ペダル付き電動バイク(電動モペット、フル電動自転車)】[1] ペダル及びモーターを備える車両のうち、スロットルが備えられており、モーターのみで走行させることができるもの。
[2] 駆動補助機付自転車(いわゆる電動アシスト自転車)のアシスト比率の基準を超えるもの。
なお、ペダル付き電動バイクは、原動機を使用せずにペダルを用いて人の力のみによって走行したとしてもバイクの「運転」に該当するため、運転には以下のことがすべて必要となる。
● ナンバープレートの表示区市町村税条例等で定める標識(ナンバープレート)を車両の後面に見やすいように表示すること。● 運転免許を受けていること及び免許証の携帯当該バイクを運転することができる運転免許(原付免許・二輪免許等)を受けていること。● 保安基準を満たした装置道路運送車両法に定められている保安基準に適合した制動装置(前後輪)、前照灯、制動灯、尾灯、番号灯、後写鏡、方向指示器、警音器等を備えていること。● 自賠責保険または共済の契約自動車損害賠償保障法に基づき、自動車損害賠償責任保険又は自動車損害賠償責任共済の契約が締結されていること。 ● 乗車用ヘルメットの着用これらの条件を満たさずに道路上で走行(使用)した場合は、道路交通法違反等の罪に問われることとなります。
これらの条件を満たさずに道路上で走行(使用)した場合は、道路交通法違反等の罪に問われる。
颯爽と走る違法な電動モペットだが、ヘルメットなし、ナンバーなし、運転免許は持っているかもしれないが、ほぼ間違いなく自賠責保険は加入していないだろう
電動アシスト自転車は、人の力で動かすものでなければならない。モーターの力だけで走ることができる車両は、電動アシスト自転車には該当しない。街中で人がこがずに走っている車両を見かけたら、それはペダル付き電動バイクだ。
一般的に手に入る電動アシスト自転車は、ギア比の関係で30km/hを出すのは、平地では必死にこいでも難しい。たいしてペダルをこがずに50km/hくらいスピードの出るものは電動アシスト自転車ではない。