バキ童ことぐんぴぃ、晋平太オリジナルEDソングを“フル尺”で流す粋な追悼
お笑いコンビ「春とヒコーキ」のぐんぴぃ(通称・バキ童)が、11月8日に自身のYouTubeチャンネル「バキ童チャンネル」を更新した。タイトルは『ぐんぴぃに1個の質問を聞いて人間性を丸裸にしよう!』。いつも通り軽妙なトーク企画かと思いきや、ファンの間で「ある異変」が話題になった。
それは、普段は16小節で終わるエンディングテーマが、この日はフルバージョンで流れたという点だ。
▼対象の動画
ぐんぴぃの動画の締めを飾るこの印象的なラップ。実はその楽曲を手がけたのは、同日に死去が報じられたラッパー・晋平太である。
動画内や概要欄のコメントなどでは死去について触れられることはなかったが、言葉ではなく音楽での静かな弔い、ファンの間ではそう受け取る声が相次いだ。
二人の出会いは2021年。ぐんぴぃと晋平太のコラボ動画での「バキバキDTラップを作ろう」という企画がきっかけだった。
北九州で“いじめられっ子”として育ったぐんぴぃと、ラップバトルの現場で屈強な男たちと闘ってきた晋平太。まったく異なる人生を歩んできた2人のトークは、どこか噛み合わないようでいて、妙な化学反応を起こしていた。
動画の中で晋平太は、スマホをいじりながらぐんぴぃの半生を興味無さそうに聞いていたが、実はそれは即興ラップのリリックを書き留める行動だった。そしてトークの終盤、ぐんぴぃの人生を1曲に昇華させるように即興ラップを披露した。そのラップこそが、現在まで続く「バキ童チャンネル」のエンディングテーマだ。
ぐんぴぃの動画の中でエンディングテーマのフルバージョンが使用されるのは極めて珍しい。過去にエンディングテーマがフル尺だったのは、筆者が知る限りは下記の2024年の1本の動画のみ。つまり、今回は二度目の“フル尺”と思われる。
そうなると、11月8日のフル尺エンディングが偶然であったとは考えにくい。晋平太の訃報を知った上での選曲だとすれば、ぐんぴぃ流の無言の追悼だったのかもしれない。
▼過去に”フル尺エンディング”が披露された唯一の動画
ぐんぴぃの数奇な人生に、晋平太がリリックで魂を吹き込んだ。そんなエンディングテーマラップのリリックは以下の通りだ。
【通常バージョン】(16小節)俺の名前はバキバキ童貞今に成る動画界の皇帝いじめられて走った校庭
フルチンで踊るチンケな道化
フリーターの時 街頭インタビューひねり出したパンチライン一発人生はたちまち豹変
俺の名前はバキバキ童貞
【フルバージョン】俺の名前はバキバキ童貞今に成る動画界の皇帝いじめられて走った校庭
フルチンで踊るチンケな道化
レペゼンは北九の小倉成人式はまるで氣志團の輩醜いアヒルのままのモグラ
地元に置いて逃げてきたヤクザ
モテたくて入った青学イケてる人見て足ガクガクついたあだ名は紙袋おじさん噂じゃその中に子どもを持参フリーターの時 街頭インタビューひねり出したパンチライン一発人生はたちまち豹変
俺の名前はバキバキ童貞
I said a hip-hop, the hippie, the hippieTo the hip, hip-hop and you don’t stop the rockin’To the bang-bang boogie, say up jump the boogie
To the rhythm of the
boogie, the beat刻むヒストリー世界にたった一つのストーリー
晋平太は、生前「人の物語を韻にすることが、自分にできる最大のリスペクト」と語っていた。ぐんぴぃがエンディングでそのラップを“フル尺”で流したのは、言葉を使わずとも伝わる友情の証だ。
画面越しの笑いの裏で、ひとりのラッパーへの敬意と哀悼を静かに刻む。その数分間の音の余韻こそ、晋平太が残した“本当のフルバージョン”だったのかもしれない。
▼Xにて晋平太への想いを綴る、バキ童ことぐんぴぃ
晋平太さんにはチャンネルのテーマ曲を作っていただきました。元々は「バキ童の人生をそのままリリックにしてもらおう」という畏れ多すぎる企画でした。好き勝手に自分語りをさせてもらって。
「あぁ」と耳を傾けてくださって。…