迷走終結? レッドブル「復活」に手応え―マルコが見たイモラ逆転Vと角田裕毅の”立ち直りサイン”

2025年F1第7戦エミリア・ロマーニャGPでのマックス・フェルスタッペンの逆転優勝を受け、レッドブルのモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコは、「レッドブルは再び前線に戻ってきた」との見解を示した。

RB21が明らかに最速のマシンでないにも拘らず、フェルスタッペンは今季これまで、3度のポールポジションや鈴鹿での勝利、そして表彰台の獲得など、劣勢を跳ね返す戦いを続けてきた。ただし、それらには展開の後押しやライバルのミスなど、何らかの”助け”が必要だったように見える。

だが、今回のイモラでは様相が異なった。マクラーレン側の戦略判断がフェルスタッペンに有利に働いた部分はあったが、それが決定打だったとは言い難い。それによって”逆転された”というよりは、”差がより大きくなった”というに過ぎなかった。

むしろ、ランド・ノリスがレース後、この日はレッドブルとフェルスタッペンの方が速かったとの見方を示したように、レッドブルの方が純粋なペースで勝っていたように見えた。

Courtesy Of Red Bull Content Pool

決勝後のパルクフェルメで優勝を喜ぶマックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)、2025年5月18日(日) F1エミリア・ロマーニャGP(イモラ・サーキット)

独専門メディア『F1-insider』によると、マルコは「この1年、我々は事実上、堂々巡りをしていたが、今回初めて、マシンが再びトップレベルになったと感じられた」と述べ、開発の進展に対する手応えを強調。「レッドブルは再び前線に戻ってきた」との自信も口にした。

レッドブルは今回、RB21に広範なアップグレードを実施した。主な変更点はラジエーターダクトおよびサイドポッドの形状で、インレット下部には新たにターニングベーンを追加。リアサスペンションおよびホイール周辺のダクトにも調整を加えた。

当初、ドライバー達はアップグレードの効果に慎重な見方を示していたが、マルコは、その成果は明らかであるとして「タイヤの摩耗に関しては、我々はマクラーレンと同等、あるいはそれ以上だった」とも語った。

レースの行方を左右することとなった、スタート直後のフェルスタッペンによるオスカー・ピアストリ(マクラーレン)のオーバーテイクについては「思わず舌を鳴らしたほどだ」と称賛。一方で、終始、安心してレースを見守っていたわけではなかった。

マルコは「最後のセーフティカーで18秒のリードがなくなった時は、さすがに不安になった」と本音を明かしたが、「マックスは見事な逃げ切りを見せてくれた」と、フェルスタッペンの冷静さと実力を改めて高く評価した。

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決勝スタート直後にイモラ・サーキットのターン3でオスカー・ピアストリ(マクラーレン)を交わして首位に立つマックス・フェルスタッペン(レッドブル)、2025年5月18日(日) F1エミリア・ロマーニャGP

チームとしても通算400戦の節目をダブルポイントで飾ることができた。角田裕毅は予選での大クラッシュを乗り越え、ピットレーンからスタートしながらも10位に入り、1ポイントを持ち帰るという見事なレースを戦った。

マルコは「ユーキもポイントフィニッシュしてくれた。本当に満足している」と語り、角田の走りを評価。一方で予選でのクラッシュについては、「あのタイミングでのアクシデントは不運だったし、良くなかった。スペアパーツに限りがあるうえ、3連戦が控えているからね」と懸念も口にした。

角田は、悔しさのあまり「前夜はあまり眠れなかった」と明かしたが、マルコは「ユーキは今朝、しっかり朝食を食べていた。つまり、もう大丈夫ということだ」と語り、精神的に立ち直ったとの見方を示した。

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健闘を称え合う優勝したマックス・フェルスタッペンと10位の角田裕毅(レッドブル・レーシング)、2025年5月18日(日) F1エミリア・ロマーニャGP決勝(イモラ・サーキット)

今回の勝利により、レッドブルとフェルスタッペンはタイトル争いにおいて再び勢いを取り戻した。次戦モナコGPに向けては、イモラで得た知見を活かし、さらなる巻き返しを狙いたいところだ。

ただし、モナコ特有の低速・タイトな市街地レイアウトはRB21の特性とは相性が良いとは言えず、フェルスタッペンは慎重な姿勢を崩していない

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トロフィーとシャンパンを手にレッドブル・レーシング通算400戦目の節目勝利したマックス・フェルスタッペンを祝福するフロントエンド・メカニックのオーレ・シャック、2025年5月18日(日) F1エミリア・ロマーニャGP決勝(イモラ・サーキット)

2025年F1第7戦エミリア・ロマーニャGPでは、2番グリッドからスタートしたマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が逆転優勝を飾った。2位はランド・ノリス、3位はオスカー・ピアストリとマクラーレン勢がこれに続いた。

モンテカルロ市街地コースを舞台とする次戦モナコGPは5月23日のフリー走行1で幕を開ける。

F1エミリア・ロマーニャGP特集

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