大阪万博:万博でギネス認定続々8件…ドローンアートや大人数なわとび、技術に「お墨付き」でPR狙う : 読売新聞
開幕から2か月が過ぎた大阪・関西万博で、ギネス世界記録が次々と生まれている。これまでに、ドローンによるアートや大人数で跳ぶなわとびなど8件が認定された。展示物に「世界一」のお墨付きを得てPRする狙いがあり、注目が集まる万博の舞台で新記録に挑戦したいという参加者の思いも後押しになっているようだ。(松田史也、佐々木伶)
万博の夜を彩るドローンショー。開幕日には1749機で木を描き、ギネス記録に認定された(12日、大阪市此花区で)=渡辺恭晃撮影■「一つの生き物」
色とりどりの光を放つ無数のドローンが、夜空に巨大な樹木を描く。大屋根リングの上では、大勢の来場者が観覧していた。
大阪市の専門学校生(19)は「立体的で、今まで見たことのないアート。ドローンが1機ずつ動いているというより、全体で一つの生き物のように見えた」と驚いていた。
万博会場では天候不良時をのぞき、毎晩(当面は午後7時57分から)、ドローン1000機によるショーが行われている。開幕日の4月13日は特別に2500機を飛ばし、1749機で巨大な木を描いたとして、ギネス世界記録に認定された。これまでの最多は、昨年12月にアラブ首長国連邦(UAE)で記録した1400機だった。
運営するレッドクリフ社(東京)の広報担当者は「ギネスを取ることで、日本のドローン技術も海外に負けないことを示したかった」と話した。半年間の会期中に継続して飛ばすことで、「年間で飛行させたドローンの最多数」でもギネス記録を目指すという。
■認定率は7%
ギネス世界記録は、イギリスの「ギネスワールドレコーズ」社が認定する様々な分野の世界一の記録を指す。専用サイトから申請し、公式認定員が審査する。同社によると、昨年1年間で189か国から4万8295件の申請があり、うち認定されたのは約7%の3324件だった。
大阪・関西万博でこれまでに認定された8件のうち6件は建物や展示物で、2件は来場者が集団で新記録に挑戦したケースだ。
5月13日には、大阪府豊中市の小学生ら12人が大阪ヘルスケアパビリオン前のステージで、隣の人の縄を持って一緒に跳ぶ「ホイールなわとび」を60回成功させ、初のギネス記録に認められた。
なわとびを通じた街おこしに取り組む豊中市が、「市の魅力を世界に発信したい」と企画。大縄跳びでは300人で跳んだ記録があり、限られたスペースで達成できそうなものを探した。小学生の参加者5人はオーディションで選抜。残る7人の大人も、なわとびの世界大会で優勝するなどの実力者だという。
同市の小学3年(8)は「世界で1番の記録がとれてうれしい」と笑顔を見せた。
ギネスワールドレコーズジャパンの広報担当・上岡風美さんは「全世界の注目を集める万博は、技術の発表や団結を示す場としてとらえられ、ギネス記録が生まれやすい」と説明。アラブ首長国連邦で21~22年に開催された前回のドバイ万博でも、シナモンロールを並べた最も長い列(1550個)など約10件が認定されたという。
■盆踊りに4000人
今後は、ドローンの年間最多飛行記録も含め少なくとも3件の挑戦が予定されている。
大阪府と大阪市の万博推進局は、府全体の魅力を発信する大阪ウィーク期間中の7月26日に、EXPOアリーナで最多人数での盆踊りを計画している。
男性デュオ「コブクロ」の公式テーマソング「この 地球(ほし) の続きを」に合わせ、来場者が輪になって踊る。従来の記録は2872人。公募には約4000人の応募があった。踊り手の国籍数のギネス記録も狙っており、50か国を目指して留学生らに声をかけているという。
万博推進局の担当者は「大阪の夏の風物詩である盆踊りを世界に発信しつつ、いろいろな国の人と世界記録に挑戦することで、来場者同士の交流が生まれればいい」と期待する。