英国資産がトリプル安、財政懸念高まる-リーブス財務相には辞任観測
- ポンドが対ドル1%余り下落、英首相が財務相への支持明言せず
- トラス的シナリオ、投資家は英国債を売り急ぐ-バリンジャー
2日の金融市場で英国資産が急落、ポンドは対ドルで1%余り下落した。投資家は同国の財政状態を懸念、リーブス財務相に対しては辞任観測が広がっている。
英10年債利回りは一時16ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇して4.61%。30年債利回りは20bp余り上昇した。ポンドは対ドルで1.36ポンドを下回り、英主要株価指数FTSE250指数は1.5%安を付けた。
関連記事:スターマー英首相、財務相への支持明言せず-進退巡り臆測 (2)
ペッパーストーンのストラテジスト、マイケル・ブラウン氏は「市場では、近くリーブス氏が退任し、後任が誰であろうとも財政規律を大幅に緩めるだろうとの読みが広がっている」とコメントした。
スターマー首相が議会での質疑で、次回総選挙が行われる時点でリーブス氏が財務相としての職務を続けているかについて明言を避けたことが英国資産の売りを招いた。スターマー氏の隣に座っていたリーブス氏は涙をぬぐうような仕草も見せていた。
首相府はその後、リーブス氏への支持を表明し、財務省は同氏が動揺を見せたのは個人的な問題が原因だと説明した。それでも、英国資産への打撃は収まることはなかった。
英国市場はここ数年、債務増大と経済成長鈍化を懸念する投資家からたびたび厳しい売りにさらされてきた。2022年には、当時のトラス首相が打ち出した財源の裏付けがない減税案が無謀だと市場に受け取られ、英国資産は大きく変動。国債は最大の売りを記録し、ポンドは37年ぶりの安値に下落した。
バリンジャー・グループのアナリスト、カイル・チャップマン氏は「スターマー氏が議会でリーブス氏を全面的に擁護しなかったことが、市場にとって最後の一撃となった」と述べ、「このトラス的なシナリオは、この1年繰り返し見られてきた。財政悪化の連鎖が懸念されるたびに債券投資家は英国債を売り急いでいる」と指摘した。
原題:UK Markets Tumble as Doubts Grow About British Finances
(抜粋)