冬に増える「夜ひどくなる咳」の原因と対策…“夜間咳”を減らして感染症予防|ニフティニュース

(写真はイメージ(C)iStock)

 冬になると、日中はそうでもないのに、寝ると咳が出る──。原因と対策は? そらいろ耳鼻咽喉科センター北駅前院の内尾紀彦院長に聞いた。

 冬の“夜間咳”で、痰の絡まない乾いた咳の場合、原因で多いのは寝室の乾燥だ。

「乾燥で喉や気道の粘膜の潤いが奪われると、刺激に敏感になり、咳が出やすくなります。こういった場合、“夜間咳”の対策は、インフルエンザコロナ風邪の対策にもつながります。というのも、喉の乾燥はウイルスの侵入を招きやすくするからです」(内尾院長=以下同)

 喉は第一の防御機能だ。粘膜にある繊毛がウイルスや異物を捕まえて体外に排出。喉の粘膜免疫で働くIgA抗体がウイルスの増殖を防いでくれる。

 ところが乾燥した空気を吸い続けると、喉の防御機能が働きにくくなる。

「するとウイルスが喉の細胞に付着し、炎症が生じ、粘膜や繊毛にダメージを与えます。そして、よりウイルスが侵入しやすくなるという負のスパイラルに陥ります」

■濡れタオルが効果を発揮

 加湿器で部屋の湿度が60%を超えるとカビが増えやすくなり、かえって咳の原因に。内尾院長が勧めるのは、次の2つ。

【濡れタオルを振り回し、干す】

「寝る直前に、濡らして絞ったタオルを部屋の中で数回振り回すと、瞬時に湿度が上がります。その後、枕元の近くに干して寝ます」

【マスクをして寝る】

「自分の呼気で保湿され、喉を守ります。不織布マスクが息苦しい場合は、シルクや綿素材でできた就寝時用のマスクを利用するのも手でしょう。濡れフィルターを入れるタイプのマスクも試す価値があります」

 冬の“夜間咳”で痰が絡む場合、副鼻腔炎が疑われる。鼻水や鼻詰まりを伴っていれば、疑いは濃厚になる。

「鼻の中とつながる空洞(副鼻腔)に膿がたまる副鼻腔炎があると、鼻水が増え、鼻水が喉の奥に流れ込む『後鼻漏』が起こります。横になるとより鼻水が喉の奥へ流れ込みやすくなるので、気道を刺激して咳が出やすくなります」

 風邪やインフルエンザをきっかけに副鼻腔炎を起こすことは珍しくない。

「副鼻腔炎は冬にひどくなりやすい。湿度が高い季節は症状が治っていたのが、冬の乾燥で鼻の粘膜の繊毛の働きが低下して異物の排出ができなくなり、炎症が起こって副鼻腔炎の症状がひどくなることはよくあるケースです」

 今すぐできる対策としては、鼻うがいだ。生理食塩水(0.9%程度の塩分濃度。ぬるま湯500ミリリットルに塩5グラム弱が目安)を用意し、顔を下に向けて鼻の穴から入れ、もう片方の鼻、あるいは口から出す。炎症の原因となる異物が洗い流され、炎症が治りやすくなる。また乾燥対策は、喉と同様、鼻の繊毛の働きにもよい効果をもたらす。ぜひ取り入れたい。

 冬に限ったことではないが、“夜間咳”では、咳喘息や逆流性食道炎の可能性もある。

 咳喘息は、ゼーゼー、ヒューヒューといった喘鳴がなく咳だけが続く。痰が絡まない乾いた咳で、夜間・早朝に悪化する。

「気道が過敏になっているので、冷たい刺激(冷気や冷たい食べ物)に弱い。昼間の冷たい刺激で気道が少し収縮し、夜間になると副交感神経が優位になって気道が狭くなる生理現象が重なって、夜に症状が強く出ている可能性があります」

 もうひとつの逆流性食道炎は、胃液や消化途中の食べ物が食道に逆流し、胃酸で食道の粘膜が傷つき炎症を起こす病気だ。

「冷たいものや刺激物は胃酸の分泌を促します。昼食の影響で胃酸が増え、夜横になった時に胃酸が逆流して喉を刺激し、咳が出ることがあります」

 逆流性食道炎では、胸やけ、酸っぱいものがこみ上げる、喉の違和感、胸の痛みも同時に見られることが多い。

“夜間咳”が乾燥でも副鼻腔炎でもなさそうなら……咳喘息や逆流性食道炎についても医師に相談してみよう。

▽喉に潤いをもたらす方法 水分補給、加湿器、うがい薬、鼻うがいが挙げられる。また、たんぱく質「ラクトフェリン」の摂取で、2時間後の喉の乾燥が軽減されるという研究結果も発表されている。ラクトフェリンはサプリメントが複数メーカーから販売されている。

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