〈英Economist誌が警告〉台湾有事をめぐる3つの懸念…このままでは中国の影響下になること必至!日米台で求められる率直な話し合い(Wedge(ウェッジ))

 トランプ関税で米中関係が冷え込む中、中国は軍備を増強し、トランプ政権の姿勢をはったりと見て台湾に侵攻する可能性があると 2025年5月1日付のEconomist 誌が論じている。  米中双方に課された 100%を超える関税のために両国間の貿易は断ち切られた。両国ともAI 等の 21世紀の技術を支配しようとし、中国は大規模な軍備増強も進めつつある。今日の米国の決意は台湾に関連して試される可能性が高く、その時期は思うより早いだろう。  中国は台湾を自国の領土と主張し侵攻する用意があるが、台湾は自立した民主主義国として存続したいと思っている。米国はこの矛盾を危うい曖昧さによって調整してきた。つまり、米国は武力行使による紛争解決には反対し、台湾に武器を売却する一方、台湾の安全は保証せず、台湾が正式に中国から離れることを阻止してきた。  しかし近年、状況は厳しさを増している。台湾では過去3回の総統選挙で独立志向の民進党が勝った。また2010年以降 台湾積体電路製造(TSMC) が先端半導体の生産を制するようになったことで、台湾の経済的重要性は跳ねあがった。  他方、中国の防衛支出額はドル換算で3倍に増加し、アジアにおける米国の軍事的優位が侵食され始めている。米国の戦略家たちは、米国は戦うかもしれないと中国に思わせておける限り、習近平は中国統一を先送りするだろうとの希望的観測にしがみついている。  台湾をめぐる戦争は破滅的なものになりかねないので、習もそうした侵攻に慌てて自らの政治的遺産と中国共産党の将来を賭けるようなことはしないだろう。しかし、今日この考えは3つの要因によって疑問視されるようになった。  第1に、トランプの下で米国は抑止力を失いつつある。24年にトランプは中国が台湾に進攻しようとしたら、中国には150%から200%の関税を課すと述べた。今日関税は145%で、これは米国が力を振り絞った結果だ。貿易戦争は中国が自分の方が勝つと考える類の戦いである。  また保護主義は米国の同盟国に害を及ぼしつつある。台湾は32%の課税に直面し、TSMC は工場の米国移転をトランプに迫られている。  第2に、中国は台湾に関して、新たな手法を採用し始めている。もちろん武力制圧に向けた努力は続け、最近の軍事演習では38隻の中国海軍の船が台湾を取り囲んだ。他方、中国は新たな「グレイゾーン」戦術の練習も始めた。

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