ディープ大阪「天満」が変わる?タワマン2棟、データセンター誕生へ《楽待新聞》(不動産投資の楽待)
9/15 19:00 配信
大阪・梅田から程近く。天満(てんま)駅や扇町駅、天神橋筋六丁目駅を中心とする「天満エリア」は、大阪らしい下町情緒と都心近接の利便性を兼ね備えた街だ。日本一長いアーケード商店街の「天神橋筋商店街」をはじめ、雑多な飲食店が並ぶ路地の賑わいは、この街を象徴する風景と言える。一方で、タワーマンションの建設やデータセンターの整備など、再開発も着実に進んでいる。実際に現地を歩いてみると、独特の空気感を放つ「ディープ大阪」の姿が随所に感じられた。この記事では、天満エリアの魅力と不動産事情について掘り下げていきたい。■大阪駅から1駅、中心部近接の好立地JR天満駅を中心とする天満エリアは、大阪市北区に位置し、大阪駅からわずか1駅・約3分という好立地にある。梅田からも徒歩で帰れるほどの近さ(約2キロメートル)で、自転車であれば10分程度だ。梅田を生活圏に取り込みやすい距離感は、天満エリアの大きな魅力と言える。交通利便性にも優れており、JR大阪環状線天満駅から徒歩数分の場所にはOsaka Metro堺筋線の扇町駅があり、さらに北へ進めばOsaka Metro谷町線・堺筋線、阪急千里線が交差する天神橋筋六丁目駅(通称:天六)も利用できる。天六は阪急電鉄を通じて京都や北摂方面とも直結しており、大阪市内はもちろん周辺都市へもスムーズに行き来できる。■雑多なにぎわいが魅力の「ディープ大阪」天満エリアの魅力は、何よりもその雑多で庶民的な雰囲気にある。JR天満駅を出れば赤ちょうちんが灯る「立ち飲み」の飲食店や大衆酒場が軒を連ね、夕方にはサラリーマンや若者でごった返す。昭和レトロな横丁のガヤガヤとした雰囲気は、整然とした再開発エリアでは味わえない「ディープ大阪」の象徴だ。エリアを南北に約2.6キロメートルにわたって貫く「天神橋筋商店街」は、日本一長いアーケード商店街としても有名で、食料品店から日用品店、飲食店と多彩な店舗構成になっている。エリアの南側には「大阪天満宮」があり、毎夏の天神祭では大勢の人で賑わう。天満駅の駅名もこの天満宮に由来しており、歴史と深く結び付いたエリアであることがわかる。余談ではあるが、天満駅の発車メロディには歌手・aikoの代表曲『花火』が採用されている。これは彼女の出身地である大阪と天神祭にちなんだ選曲として知られている。天満エリアといえば立ち飲み横丁や商店街の活気が思い浮かぶが、一方で「都会のオアシス」と呼ばれる扇町公園も天満駅からすぐの場所に広がっている。公園には芝生広場や遊具が整備され、週末になると家族連れやジョギングを楽しむ人の姿も多い。雑多で賑やかな街並みと、自然を感じられる憩いの空間が隣り合うのも、天満エリアの暮らしやすさを支える要素の1つだろう。■天満エリアの不動産事情天満エリアには、いくつかのタワーマンションが点在している。代表的な物件としては、天神橋筋六丁目駅直結の「ジオタワー天六」(2013年竣工・44階建)、同じくジオブランドの「ジオ天六ツインタワーズ」(2018年竣工・23階建×2棟)、大川沿いの「シティタワー大阪天満ザ・リバー&パークス」(2010年竣工・45階建)などが挙げられる。中古マンション相場を見てみると、天満駅徒歩15分以内の3LDK物件は、平均で7600万円を超えている。これは1億円を超えるタワーマンション住戸が全体の水準を押し上げているためだ。実際の価格帯には幅があり、築古のマンションでは3000万~4000万円台で購入可能な物件がある一方、築浅のタワーマンションになると7000万~1億円超が中心となる。なお「シティタワー大阪天満ザ・リバー&パークス」については、当時の販売価格帯が2820万~5930万円だったとする資料も確認できた。現在は9000万円台後半で売り出されている住戸もあることから、分譲当初から大きく価格を伸ばしていることがわかる。こうした価格の上昇は、地価動向からも見て取れる。国土交通省が公表している大阪市北区の住宅地における地価の平均変動率は、2024年にプラス4.8%だったが、2025年にはプラス7.9%へと拡大している。一方、賃貸相場を見ると、天満駅周辺では1Kで6万円台後半、1LDKで12万円台、2LDKで18万円台が目安だ。同様に梅田に隣接する福島エリアと比べるとやや抑えめの水準である。■大規模再開発計画が相次ぐ天満エリアでは、今後数年の間にいくつかの大規模な開発計画が予定されている。まず、「(仮称)大阪市北区天満一丁目計画」だ。旧三菱UFJ研修所跡地に、三井不動産レジデンシャルと京阪電鉄不動産が手掛ける地上30階建て・161戸のタワーマンションが建設される。最寄り駅はOsaka Metro谷町線と京阪本線が乗り入れる天満橋駅で、2024年に着工済み、2028年春の竣工を予定している。大川沿いに新たなランドマークが誕生する見込みだ。さらに、「ブランズタワー大阪梅田」も計画が進む。場所は中崎1丁目、扇町公園に隣接する旧大阪北逓信病院跡地で、東急不動産が地上38階建て・256戸のタワーマンションを開発する。2027年1月竣工、同年3月引き渡し予定で、梅田と天満をつなぐエリアに新たな住宅供給が加わることになる。加えて、旧北天満小学校跡地では、東急不動産の「グリーンデータセンター」事業が進められている。同事業は、再生可能エネルギーを活用したデータセンターに加え、災害時の拠点や地域活動の場としての機能を持たせる点が特徴とされており、2025年4月~2074年6月までの約50年間にわたり、月額約1700万円の事業用定期借地権契約で運営される計画だ。◇天満エリアは、梅田に隣接する利便性と雑多な賑わいを併せ持つ街だ。居酒屋など飲食店が立ち並ぶ飲み歩きスポットや、天神橋筋商店街など、大阪らしい活気にあふれる日常が楽しめる。一方で、扇町公園のような緑地も近く、暮らしのバランスを取りやすい環境でもある。不動産市場ではタワーマンションの存在感が大きく、価格の上昇とともに地価も堅調に推移している。今後は新たなタワーマンションの建設やデータセンターの整備も予定されており、さらなる注目を集めるエリアへ成長していくことが見込まれる。
山之内渉/楽待新聞編集部
不動産投資の楽待
最終更新:9/15(月) 19:00