アメリカ・イスラエル・湾岸諸国の安いドローン迎撃装備、高価なパトリオットだけで戦っているのではない(JSF)
2月28日からアメリカ軍の先制攻撃で始まったイランとの戦争で、イランは反撃を実施。既にイランから数百発の弾道ミサイルと数千機の自爆ドローンがイラン周辺のアメリカ軍基地やイスラエル、更には湾岸諸国(UAE、カタール・バーレーン、オマーン、クウェート、サウジアラビア)を襲っています。
この迎撃戦闘でイランの安価なシャヘド136自爆無人機(1機あたり数百万円)に対して高価なパトリオットPAC-3MSE迎撃ミサイル(1発あたり約6億円)を使うのは割りが合わないという指摘がよく行われていますが、実際にはPAC-3MSEは弾道ミサイル迎撃と巡航ミサイル迎撃に温存されており、シャヘド迎撃には別の安い迎撃兵器が主に使われているのが実情です。
レーザー誘導ロケット弾「APKWS」 : 400~600万円
BAEシステムズよりF-15E戦闘機から発射するレーザー誘導ロケット弾APKWSのイメージ絵対ドローン装備「コヨーテBlock2」 : 1500~2000万円
RTXレイセオンより対ドローン装備「コヨーテBlock2」アイアンドームの迎撃ミサイル「タミル」 : 800~1200万円
イスラエル軍よりアイアンドーム防空システムのタミル迎撃ミサイル※イスラエル軍のC-RAM(対ロケット弾迎撃装備)のアイアンドーム防空システム。C-UAS(対ドローン迎撃装備)としても使用可能。迎撃ミサイルとしては非常に安いのが特徴。
パンツィリ-S1:機関砲と対空ミサイル
※UAE(アラブ首長国連邦)はロシア製のパンツィリ-S1防空システムを装備している。なおトラックはドイツのMAN社製SX45シャーシと組み合わせている。使用する57E6対空ミサイルの1発あたり購入値段は不明だが、おそらくアイアンドームと大差がないコスト。上記写真はイエメン内戦介入時のもの。
UAE軍は他にパトリオットより安価な防空システムとして、ホーク防空システムやKM-SAM天弓Ⅱ防空システムが在ります。他の湾岸諸国の安価な防空システムはカタール軍はNASAMS、レイピア、ローランド。バーレーン軍はホーク、クロタル。オマーン軍はNASAMS、レイピア、クロタル。クウェート軍はホーク。サウジアラビア軍はホーク、クロタルなど。更に各国には他にも様々な種類の携行地対空ミサイルと対空機関砲もあります。
湾岸諸国(UAE、カタール・バーレーン、オマーン、クウェート、サウジアラビア)はパトリオットやTHAADといった非常に高価な防空システムを装備している国が複数ありますが(なおTHAADは弾道ミサイル迎撃専用)、しかし高価な防空システムだけで迎撃戦闘を戦っているのではありません。
イランが発射するシャヘド136自爆無人機が数千機にも及んでいるので防空装備の手数が足りていないのは確かですが、もしパトリオットだけで戦っていればとっくに迎撃ミサイルの残弾は尽きている筈です。しかしそうなっていはいません。それはパトリオット以外の多種多様な防空システムも用いて対ドローン迎撃戦闘を行っているからです。
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