三井住友FGがジェフリーズの出資比率引き上げで最終調整-関係者

三井住友フィナンシャルグループ(FG)が米証券のジェフリーズ・ファイナンシャル・グループへの出資比率を引き上げることで最終調整していることが分かった。

  事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。関係者の1人によると、三井住友FGが約1000億円を投じて出資比率を現在の14.5%から20%に引き上げることを軸に、議決権を持たない優先株の取得を検討している。関係者の1人によれば、ジェフリーズの取締役会はこの計画を承認した。近く発表される見通し。

  連携を強化し、三井住友FG傘下のSMBC日興証券とジェフリーズが合弁会社を設立する形で日本国内の株式関連事業を統合する方針だ。

  三井住友FGは2021年7月にジェフリーズと資本・業務提携を結んで以降、段階的に協業範囲を拡大してきた。事業統合は今回が初めてとなる。統合が実現すれば、10年の三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)と米モルガン・スタンレーによる合弁証券発足以来の日米間での大型金融再編となる。

  三井住友FGの広報担当者からはコメントを得られていない。ジェフリーズの広報担当者はコメントを控えた。

  SBI証券の鮫島豊喜シニアアナリストは、三井住友FGとしては「出資比率がさらに上がることで、米国を中心に海外の投資銀行ビジネスの拡大が見込める」と指摘。一方、日本国内でも同ビジネスで「互いのノウハウとともにバランスシートを使えるのが三井住友FGのアドバンテージ」になるとみている。ただ、MUFG・モルガンS陣営と比べ規模は小さく、「どのようにジェフリーズの国内事業をてこ入れするのか」が課題とした。

  三井住友FGの株価は19日の取引で、一時前日比1.3%高の4132円を付けた。ジェフリーズの株価は18日の米国市場で急伸し、同5.8%高で取引を終了した。

  三井住友FGはジェフリーズと日本企業が関与する国際的な企業の合併・買収(M&A)などで連携し、投資銀行業務を強化してきた。三井住友FGによる当初の持ち分比率は最大4.9%としていたが、23年4月には普通株式と優先株を合わせた経済持ち分を希薄化後ベースで最大15%まで引き上げる方針を発表した。

  今年5月には、これまで手掛けていた北米、欧州・中東・アフリカ(EMEA)での協業関係をアジア太平洋地域にも拡大したと三井住友FGが発表し、全世界での協業に踏み出している。

  3メガ銀グループ各社はグローバルな投資銀行業務の強化に取り組んでいる。MUFGはモルガンSと「アライアンス2.0」と銘打った提携戦略を進めており、機関投資家向けの日本株セールスやリサーチ事業の一部を統合するなど関係の深化を図っている。みずほFGはM&A助言の米グリーンヒルを23年末に買収し、国境をまたいだ案件獲得に力を入れる。

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— 取材協力 Taro Fuse, Takashi Nakamichi, Taiga Uranaka and Nao Sano

(2段落目にジェフリーズの機関決定などについて追加し更新します)

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