ロシアが5地域の割譲要求、ウクライナとの3年ぶり協議で-関係者
ウクライナとロシアの代表団がトルコのイスタンブールで協議した。両国の直接協議は3年余りで初めて。捕虜交換で一致し、停戦の可能性は協議されたが、戦闘停止の合意はなかった。
協議はトルコのフィダン外相がホスト役を務め、イスタンブールのドルマバフチェ宮殿で行われた。事情に詳しい関係者によると、この協議でロシアはウクライナのドネツク、ルハンシク、ザポリージャ、ヘルソンの4州とクリミアの割譲を要求した。ロシアはこの4州について、完全には掌握していない。
ウクライナの代表団団長を務めたウメロフ国防相は、今回の協議では1000人対1000人の戦争捕虜交換を近い将来に実施することで双方は合意したと述べた。停戦の「あらゆる様式が議論された」とし、「今は人々を交換することが必要だ。次の段階がどうなるかは、近く発表する」と語った。
一方、ロシアの代表団を率いたメジンスキー大統領補佐官は協議の「成果に満足している。われわれは連絡を継続する用意がある」とテレビ中継で記者団に表明。「将来的な停戦の詳細なビジョンを双方が提示し、その後で交渉を再開することに合意した」と述べた。
ウクライナ側は首脳の直接会談を求め、ロシア側はこれに留意すると、メジンスキー氏は付け加えた。
ウクライナのゼレンスキー大統領は協議終了後、フランスのマクロン大統領、英国のスターマー首相、ドイツのメルツ首相、ポーランドのトゥスク首相とともにトランプ米大統領と電話会談を行ったと、ゼレンスキー氏の報道官は発表した。電話会談の詳細は追って明らかにするとした。
ウクライナと欧州の大国はロシアのプーチン大統領に対し、和平合意に向け交渉の時間を確保するため、30日間の無条件停戦を約束するよう要求した。同氏は停戦に合意しない代わり、トルコでの直接交渉再開を提案した。
今回の協議について、メルツ独首相は「大きく失望している」と発言。「ボールは完全にロシア側にあった」が、プーチン氏は和平合意を議論する機会を利用しなかったと主張した。
スターマー英首相は「ゼレンスキー氏と会談し、トランプ氏と議論した結果、われわれは協調し、一致した対応へと動いている」と述べた。
フィダン氏は今回の協議の冒頭で、「現段階で2つの道がある。一つは平和に向け前進する道、もう一つはさらなる破壊と人命の喪失につながる道だ。どちらの道か、両者は自由な意思で選ぶことができる」と語った。
米国のルビオ国務長官はこれより先、トランプ氏とプーチン氏の会談がなければ進展の可能性は低いとの見方を示していた。
プーチン氏はこの協議を、2022年の侵攻開始直後にウクライナとイスタンブールで行った交渉の再開と位置づけることを示唆していた。当時の交渉もメジンスキー氏が代表を務めたが、ロシアの要求を巡って非難の応酬となり決裂した。
アルバニアのティラナで欧州首脳との会合に出席していたゼレンスキー氏は、「下のレベルではなく首脳レベルでどの問題を扱わなければならないか、明確に定義する」必要があるとの見解を示し、「ロシアで実際に決定を下すのは誰か、全員が知っている」と続けた。
今回の協議にプーチン氏は比較的低位の代表団の派遣を決定、ゼレンスキー氏はロシアの代表団を「見せかけ」と非難していた。ロシアの代表団はプーチン氏と常に連絡を取り合い、随時報告していると、ペスコフ大統領府報道官は16日に説明した。同報道官の発言はインタファクス通信が報じた。
これより先の16日、トランプ氏は中東歴訪を締めくくるに当たって記者団に対し、プーチン氏と「準備が整い次第」会談すると述べた。以前は「何かが起きれば」トルコを訪問する意向を示していたが、ワシントンに直接戻ると発表した。
トランプ氏は前日にも、自分とプーチン氏が会うまでウクライナ問題の解決は「何も起こらない」と話した。
ウクライナの代表団はロシア側との協議に先立ち、米国のケロッグ特使および英独仏の安全保障担当顧問と「姿勢を擦り合わせていた」と、イェルマーク大統領府長官は16日にX(旧ツイッター)に投稿した。
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原題:Russia, Ukraine Discussed Truce, Prisoner Swap at Direct Talks(抜粋)