捕食で丸呑みするニシキヘビ。骨まで消化するメカニズムが判明

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成長すると最大全長7メートルほどになり、体重も90キロを超えることもあるビルマニシキヘビ。シカやアリゲーターを丸呑みし、ときには人間をも襲う野心的な大蛇として知られています。

食べたあとはじっくりゆっくり消化するわけなんですが、骨まで消化できることは知っていますか? 実は、最新の研究で、骨まで溶かせるのは「未知の細胞」のおかげだったことがわかったんですって。

骨を消す「スフェロイド」

研究を行ったのはフランスのモンペリエ大学のチーム。

ヘビに骨付きのラットや骨なしラットを食べさせ、腸を詳しく調べたところ、腸の中にカルシウムやリン、鉄でできた粒がぎっしり詰まった特別な細胞を発見。この粒は「スフェロイド」と呼ばれ、小さなポケットの中にたまっていました。

普通の消化の細胞とは形も性質もまったく違っていて、骨を分解するために特化した細胞だと考えられています。

骨も跡形もなく分解する

実験では、骨を食べたヘビの腸だけにスフェロイドがたくさん現れ、骨なしの餌を食べたときにはまったく作られませんでした。さらに、消化が終わった後のフンを調べると、骨のかけらは一つも残っていなかったのです。

骨は完全に溶けて、栄養として吸収されていました。

でも骨にはカルシウムがたくさん含まれていて、一気に吸収すると、血液中のカルシウムが多くなりすぎて心臓や腎臓に深刻な問題を起こします。なので、このスフェロイドは、骨を分解しながらカルシウムが暴走しないようコントロールする仕組みも持っていると考えられています。

他の生き物にもあるの?

ちなみに、この細胞はビルマニシキヘビだけのものではありませんでした。研究チームは、他のニシキヘビやボア、そして毒をもつアメリカドクトカゲでも同じ細胞が確認されました。

「サメやハゲワシのように骨を食べる生き物にも、この仕組みが隠れているかもしれません」と研究者たちは話しています。

これからの研究で、骨を食べる動物たちに共通する秘密がさらに明らかになっていくのが楽しみですね。

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