2000万円を運んだ「田中角栄の側近」 暴かれた元首相の金権選挙
東京地裁での判決後、自宅に戻った田中角栄元首相と出迎えた田中派の国会議員ら=東京都文京区目白台で1983年10月12日
田中角栄元首相が逮捕されたロッキード事件の発覚から50年となる年に検察が「門外不出」としてきた新資料が明らかになった。
大手商社丸紅ルートの5億円に上る賄賂の「使途」に関し、榎本敏夫元首相秘書官が東京地検特捜部の取り調べに対し作成した一覧表を毎日新聞は入手した。
「首相の犯罪」を解明する上でキーマンとなった側近が作成した現金配布の一覧表は、供述調書とともに田中元首相の金権体質を赤裸々に語る。
「最終的には田中先生」
「ご苦労だけどちょっと行ってこいや」
毎日新聞が確認した、榎本元首相秘書官の東京地検特捜部に対する供述調書には、1974(昭和49)年7月の参院選で、田中元首相の指示に従い自民党候補に資金を渡した状況が克明に記されている。
その手順はこうだ。
「だれだれ君、今日いるかね」
まず元首相から榎本元秘書官に問いかけがある。
元秘書官は指名された候補者側に電話をかけて所在を確認し、元首相から預かった大封筒の中から札束の現金を用立てたとする。
一束100万円。調書には大封筒の中に「無造作に札束が突っ込まれていた」と記載されている。
どこの銀行を使っているのかを隠すため、帯封を外し、輪ゴムか白紙を細く切ったもので巻き直した。
さらに底にひだのある書類入れ用の封筒に詰め替え、デパートの手提げ袋に入れるなどして指定の候補者を訪ねたとする。
「田中から預かってまいりました。私の用件はこれだけです」
元秘書官はこう言って…