トヨタ初のラダーフレームBEV!! ハイラックスTRAVO
/ 新型車紹介
新型ハイラックスの話題の一つは、バリバリのBEVモデルが存在すること。ラダーフレームとは相性が悪そうなBEVだが、ハイラックスはさまざまな工夫でそれに対処している。盛り込まれたスゴイ技術を紹介しよう!
文:ベストカーWeb編集部/写真:トヨタ自動車
【画像ギャラリー】ハイラックスTRAVO-eをアップでたっぷり見て!(35枚)新型ハイラックスTRAVO-e
新型ハイラックスは、生産国タイでは「ハイラックスTRAVO(トレボ=travelとvoyageの造語)」を名乗るが、そのラインナップには「TRAVO-e」というBEVモデルが存在する。
もともと日本車王国と呼ばれた東南アジアだが、近年は中国製EVがジワジワとシェアを伸ばしている。ハイラックスTRAVO-eは、現地で60年近くかけて築いてきたトヨタの信頼と技術を武器に、そういった新興勢に対峙しようという熱意の表れとも受け取れる。
TRAVO-eの中身だが、トヨタが2022年に公開した試作車「ハイラックスREVO(先代ハイラックス) BEVコンセプト」が原型となっている。REVOはトヨタが現地で鍛えてきたIMVのフレーム型シャシーに、同社として初めてバッテリーを搭載した電動車だが、ドディオン・アクスルを採用するなど、独自の工夫を盛り込んだ点が話題となった。
新しいハイラックスTREVO-eでは、河川の横断や岩場の登坂が当たり前という現地のユースケースに応えるべく、「ダイヤモンドガード」という構造を採用した。
この構造は、バッテリーをフレームではなくダイヤモンド形状のサブフレームに搭載し、シャシーのねじれによるバッテリーのダメージリスクを低減しようというもの。バッテリーモジュールは衝撃吸収機能も持つうえ、バッテリーや電動ドライブトレインを強化プレートで保護して、外部からの衝撃から守っている。
前述したドディオン・アクスルも採用された。モーター内蔵のため重い後輪のeアクスルを車軸側ではなく車体側に固定することでバネ下重量を軽減し、リジッドでありながらしなやかな乗り心地とハンドリングを実現した点が画期的だ。
BEVでもタフさはエンジン車並み!
TRAVO-eは前後にモーターを積むデュアルモーターAWDで、ダブルキャブボディのみが用意される。モータートルクはフロントが205Nm、リアが269Nmで、双方を合わせたシステム最高出力は144kW(196ps)だ。
バッテリーサイズは59.2kWhのリチウムイオンで、航続距離は最大315km。最大10kWの普通充電のほか、125kWの急速充電にも対応するという。
走行面では、「ロック」「モーグル」「マッド」「サンド」「ダート」という5つの走行モードを備えたマルチテレインセレクトが備わる。エンジン車のようなトランスファー切り替えはもたないが、電動式4WDは新たな全輪駆動の可能性を示してくれるはずだ。
現地タイでの価格は149万1000バーツ(約715万円)とのこと。エンジン車に比べれば割高だが、二酸化炭素削減が求められる企業・団体などのニーズを開拓するものと思われる。
シングルキャブのハイラックスREVOやハイラックス・チャンプに加えて、ハイラックスファミリーの新しい家族となったハイラックスTRAVO。TRAVO-eはその先進性とエコロジカルな面を象徴する1台として、注目を集めそうだ。