情報BOX:「ミーム株」再熱狂の訳、300%上昇の銘柄も

 7月23日、米国の個人投資家は今週、百貨店大手コールズやドーナツチェーンのクリスピー・クリームなど業績は不振ながら空売り比率の高い企業の株価上昇に賭けようと再び結束している。カリフォルニア州バーバンクの同店店舗で2021年7月撮影(2025年 ロイター/Mario Anzuoni)

[23日 ロイター] - 米国の個人投資家は今週、百貨店大手コールズやドーナツチェーンのクリスピー・クリームなど業績は不振ながら空売り比率の高い企業の株価上昇に賭けようと再び結束している。4年前にウォール街を席巻した「ミーム株」ブームを彷彿させる動きだ。

今回注目を浴びている銘柄はオンライン不動産プラットフォームのオープンドア・テクノロジーズ(OPEN.O), opens new tab、苦境にある百貨店運営会社のコールズ(KSS.N), opens new tab、ドーナツチェーンのクリスピー・クリーム(DNUT.O), opens new tab、アクションカメラメーカーのゴープロ(GPRO.O), opens new tabだ。

今回の急騰で知っておくべきポイントを以下に挙げた。

<今回の急騰のきっかけ>

一部の市場関係者はEMJキャピタルのポートフォリオマネージャー、エリック・ジャクソン氏が先週、X(旧ツイッター)に投稿した強気のコメントが急騰の理由となったとみている。ジャクソン氏は、自身のヘッジファンドがオープンドア株を買い持ちしており、株価が長期的に82ドルに達すると予測していると述べた。

トレーダーたちはすぐにオープンドア株に飛びつき、株価を今月これまでのところ300%押し上げた。

オープンドアの株価は6月、過去最低の0.50ドルをつけており、2021年の高値水準から90%以上も価値を失っていた。オープンドアは過去11四半期連続で赤字を計上している。

米国株が史上最高値まで急回復したことが、個人投資家たちを勇気づけている。投資家らはトランプ大統領の混乱した貿易政策を無視し、健全な経済と連邦準備制度理事会(FRB)による利下げに賭けている。

米国の貿易を巡り、日本など主要な通商相手国と緊張が緩和したこともリスク選好の動きを後押ししている。

<熱狂に巻き込まれた銘柄>

アマチュア投資家の熱狂に巻き込まれた銘柄には、クリスピー・クリーム、ゴープロ、コールズ、オープンドアがある。そうした熱狂はX、レディット(RDDT.N), opens new tab 、ストックツイッツなどの交流サイト(SNS)の投稿があおり立てた。

これらの銘柄は空売り比率が高く、株価が急騰すると空売りしていた投資家に損失が生じる「ショートスクイーズ」が起こる。

ロンドン証券取引所グループ(LSEG)のデータによると、空売り比率はそれぞれクリスピー・クリームが14%、ゴープロが8%、コールズが47.3%、オープンドアが18.6%に達している。

昨年の同時期はキース・ギル氏によるSNS投稿がゲームストップ(GME.N), opens new tabやAMCエンターテインメント(AMC.N), opens new tabのような銘柄に熱狂をもたらす主な引き金となった。

<ミーム株とは>

ミーム株とは個人投資家たちがレディット、ストックツイッツ、XなどのSNS上で集まって株価を押し上げ、ショートスクイーズを引き起こす企業の銘柄を指す俗称だ。

これらの企業は経営基盤が弱く業績も赤字なため空売り比率が高いが、ミーム株投資家たちは安い株価を好んでいる。

21年に初めて熱狂が起き、当時は新型コロナウイルス禍に伴う行動制限で貯蓄が増えたほか、政府の景気刺激策としての現金給付や超低金利が投資家を株式市場へと誘導した。手数料ゼロの取引アプリの普及によってもまた、スマートフォンを持つ人なら誰でも株式取引に手軽に参加できるようになった。

ロビンフッド(HOOD.O), opens new tabなどの低価格取引プラットフォームを利用する何千人ものレディット利用者たちが結束してこれらの株価を押し上げ、空売りしていたヘッジファンドに損失を与えた。

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