F35戦闘機、スイスが調達削減の可能性-米との固定価格交渉不調
- 交渉決裂で調達コストが予定を最大13億スイス・フラン上回る見通し
- 政府はF35の購入を減らす可能性があるとスイス国防相
スイス政府は、米ロッキード・マーチン製F35戦闘機の調達数を従来方針の36機から削減する可能性があると明らかにした。米国との価格固定契約の交渉がまとまらず、調達コストが予定を最大13億スイス・フラン(約2380億円)上回る見通しになったためだ。
スイス政府によると、フィスター国防相とヘグセス米国防長官の電話会談を含む政府間交渉で、価格固定案の検討を求めたが米側は応じなかった。コスト超過は6億5000万-13億フランとなる見通しだという。
トランプ政権がスイスに課した39%の高関税に加え、今回の交渉決裂はスイスにとって二重の打撃となった。
フィスター氏は13日の記者会見で、政府はF35の購入を減らす可能性があると発言。ただ、他の選択肢と比べてF35は依然として大きな技術的優位性があるとし、別の戦闘機を選ぶ場合は納入がさらに遅れ、コストも一段とかさむ可能性があると説明した。
その上で、「新たな戦闘機を導入しなければ、スイスは2030年代初頭以降、自国の空域を守れなくなるだろう。従って、これは国民の安全に関わる問題だ」と語った。
フィスター氏はまた、今回の問題は「米国との関税を巡る議論とは無関係というのが連邦政府の見解だ」と述べた。スイス側が関係づけることは可能だが、現時点でそのような議論はされていないとした。
一方で、F35の調達を全て取りやめたとしても「この機体には旺盛な需要がある。スイスが買わなければ、他の国が買うだけだ」として、関税交渉上のカードにはなり得ないと指摘した。
スイス政府は声明で、国防省が11月末までに「さまざまな選択肢を精査する」とし、「現行の防空要件が、F35Aを評価した際の前提と合致している」かどうかを含め検討するとした。
スイス政府は数年前から、総額60億フランの固定価格でF35Aを36機調達する方針を示してきた。しかし6月に、価格に関する見解が米国と食い違っていると認め、外交的解決を目指すと表明していた。
原題:Swiss May Reduce F-35 Purchase as US Squeezes Government (1)(抜粋)