斎藤知事らへの疑念招いた優勝パレード 「楽観過ぎ」第三者委も苦言
兵庫県の斎藤元彦知事らが背任容疑で刑事告発された、プロ野球の優勝パレード事業。県警は13日付で捜査結果の書類を神戸地検に送った。起訴などの刑事責任が問われる可能性は低いとみられるが、事業をめぐっては見通しの甘さが目立った。
2023年、阪神はセ・リーグで18年ぶりの優勝、オリックスはパ・リーグ3連覇を果たす。関西の球団がプロ野球の両リーグを制したのは59年ぶりだった。
パレードは、県や大阪府、経済団体などで実行委員会を作り、11月23日に神戸・大阪両市で開かれた。
両チームの監督や選手らが参加し、実行委によると主催者によると約100万人が集まった。
ただ、開催前から資金面は盤石ではなかった。
浮上した「キックバック疑惑」
事業に税金は投入せず、クラウドファンディング(CF)と企業・団体からの協賛金でまかなう計画だった。
「これまでにない規模感で実施し、より多くの皆さまとお祝いしたい」。CFのウェブサイトでこう呼びかけ、球団のロゴなどをあしらったグッズを返礼品として用意した。
しかし、パレードを約3週間後に控えた11月2日の会見で斎藤知事は、CFが「正直苦戦している」と発言した。最終的に集まったのは約1億円。目標の5分の1にとどまる。
事業報告書の収支によると、経費は警備費や機材費など計約6億4千万円。一方の収入は、CFで足りなかった分を企業などからの協賛金約5億3千万円でまかなったとされる。
そんななか浮上したのが、県による「キックバック疑惑」だ。
元西播磨県民局長(故人)が斎藤知事らを内部告発した文書には、七つの疑惑の一つとして「優勝パレードの陰で」という項目がある。
CFや企業からの協賛金が必要経費を大きく下回ったため、金融機関への県の補助金を増額し、それを募金(協賛金)としてキックバックさせて補った、という内容だった。当時副知事だった片山安孝氏が「司令塔」だったと記されていた。
市民オンブズマンなどは、不適切な税金投入によって補助金を1億円から4億円に増額し、県に約3億円の損害を与えたとして、昨年10月に斎藤知事と片山氏を背任容疑で県警に刑事告発した。
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第三者委の見解は
内部告発文書の真偽などを調べた県の第三者委員会は今年3月、調査報告書を公表した。
パレードの疑惑をめぐって第三者委が認定した概要はこうだ。
23年10月下旬以降、CFの集まりが悪いことから、実行委は積極的に(企業の)協賛金の依頼をしていた。ただ県の事務局では、11月17日時点で、必要な協賛金の確保に見通しがついていた。
だが同日午後、大阪府の事務…
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この記事を書いた人
- 根本快
- 神戸総局|事件・司法担当
- 専門・関心分野
- 事件、政治資金
2024年3月、兵庫県の斎藤元彦知事らがパワハラ疑惑などを内部告発されました。告発への知事の対応をめぐって県議会と対立しましたが、出直し選挙では斎藤知事が再選を果たしました。最新ニュースをお伝えします。[もっと見る]