中国プラスチック工場に操業停止のリスク、米国産原料への高関税で

Nicholas Lua

  • 米国産エタン処理で1トン当たり184ドルの赤字-125%関税で

米中の貿易戦争が長引く様相を見せる中、中国のプラスチック工場は操業停止のリスクに直面している。

  中国は世界最大のプラスチック製造国だが、アナリストによると、石油化学製品の原料であるエタンをほぼ全て米国から輸入している。米国からの輸入品に高率の関税が適用されることで、代替原料を処理できない工場は大幅な赤字に陥る。

  リスタッド・エナジーのアナリスト、マニッシュ・セイワル氏は、「中国のエタンクラッカーには米国からの供給に代わる手段が存在しないため、状況は悲惨だ」とし、「関税が免除されない限り、操業停止や閉鎖を余儀なくされるかもしれない」と指摘した。

  エタンクラッカーとは、原料としてエタンを利用してエチレンを生産する施設。米エネルギー省によると、中国は米国産エタンの最大の買い手。

  リスタッドのデータによると、125%の対米関税が適用されたことで、中国のプラスチック工場は4月11日終了週に処理した米国産エタン1トン当たり、184ドルの赤字が出た計算となる。関税がなければ、100ドル余りの利益を得られていた。

  すでに供給過剰に陥っている中国のプラスチック産業にとって、コスト増は新たな打撃だ。貿易戦争は天然ガス液(NGL)やプロパンなど他原料にも影響を及ぼしており、米国での価格急落につながっている。

  国内生産による代替も難しい。業界調査会社JLCインターナショナルによると、中国の2024年のエタン生産量は約12万トンにとどまった。

  リスタッドによると、エタンの取引は長期契約が一般的で、スポット市場での売買はほとんど行われていないため、米国以外から新たな供給先を確保するのも困難だ。

原題:China Plastic Plants Face Closure Risk as Tariffs Hit US Ethane(抜粋)

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