コロンブスが南北アメリカに持ち込んだ、4つの重要な農作物(Forbes JAPAN)

クリストファー・コロンブスが15世紀末に南北アメリカへと到達したとき、人類史上で最も変革的な生態学的交流の幕が切って落とされた。とりわけ、コロンブスにとって2度目となる1493年の航海は、17隻の船におよそ1000人が乗り込み、単なる調査にとどまらず、新大陸を植民地化するという目的もあった。その航海では、入植者や兵士らとともに、熱帯の地で欧州のライフスタイルを再現するために必要なさまざまな動植物も海を渡った。 生物種が海を越えて移動したこの流れは、生態学ならびに歴史の世界では「コロンブス交換」と呼ばれている。そしてこのコロンブス交換が、世界の生態系と経済を再形成することになった。 関心が集まりがちなのは、コロンブスが持ち込んだ人間と動物だが、そのとき同時に海を渡った植物もまた、大きな影響を及ぼした。コロンブスが持ち込んだ植物の多くは、南北アメリカの両大陸に、文字どおり根を張っただけではなく、比喩的な意味でも根を下ろした。 では、コロンブス交換の記録にもとづいて、コロンブスとそれに続いた人たちが南北アメリカに持ち込んだ最も重要な植物種をいくつか取り上げよう。そして、そうした植物種が新世界の生態系をいかにして永久に変えてしまったのかを見ていこう。

■1. バナナ 俗説に反し、バナナはアメリカ原産ではない(東南アジア原産)。しかし、1493年までにはすでに、ポルトガルの商人によって、北西アフリカ沖に位置するカナリア諸島に広まっていた。コロンブス以前の話だ。 伝えられるところによると、コロンブスは2度目の航海時に、バナナの吸枝(地中の株から伸びてくる子株)を持ち込み、それがカリブ海の湿潤な気候で繁殖したとされる。 欧州からの入植者が定住して数十年のうちに、バナナはアメリカの熱帯全域で主食となった。現地の自然環境に簡単に適応して群生し、在来種の植物に覆いかぶさるように繁茂した。そのバナナの末裔はいま、西半球で最も広く栽培されている農作物の1つだ。 ■2. 小麦 コロンブス2度目の航海に同乗した欧州人にとって、小麦は、単なる農作物という枠を大きく超える意味をもっていた。それどころか、文明そのものを象徴するものだった。パンは、欧州人の食生活や儀式に欠かせない要素の1つであり、彼らにとっては、小麦なしでは完全に定住したとはいえなかった。 コロンブスは、カリブ海諸国に小麦の種を持ち込んだ。ただし、熱帯特有の湿度のせいで、小麦の栽培を成功させるという希望は瞬く間に打ち砕かれた。それから何年も過ぎてから、小麦は栽培に適した温帯気候であるメキシコの高地とペルーの山間部に根付き始めた。 小麦の定着によって始まったのが、区画整理された欧州式農業だ。そして、森林を伐採して開墾し、単一栽培を行なって、在来の植物種を追い出してしまった。

Forbes JAPAN
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