お値段1000万円! 世界限定10台! ホンダがトップドライバーの血と汗滲む“ホンモノ”モノコックの本格シミュレータを販売開始

 11月11日、ホンダ・レーシング(HRC)が製作したドライビングシミュレータ『Honda eMS SIM-01』が一般販売されることが発表された。

 ホンダ、そしてHRCは次世代モータースポーツプロジェクト『Honda Racing eMS』を展開しており、eモータースポーツを通してモータースポーツへの新たな入口を作り、さらにはHRCというブランドの知名度・イメージ向上を目指している。具体的にはグランツーリスモを使用したタイムアタックイベント、レースイベントなどを実施し、2023年から全世界で累計40万人以上が参加している。

 そんなHRCが新たに手がけるのが、オリジナルレースシミュレータの制作・販売だ。『Honda eMS SIM-01』と名付けられた筐体は、ホンダ・レーシングスクール鈴鹿(HRS/旧名称SRS)で使われていたスクールカーの実物モノコックを使用したものとなっている。

 販売価格は1000万円(税別)。世界限定10台で販売され、レンタルも実施されるという。価格としては非常に高額な印象だが、HRCの徹底した“本物志向”が詰まった1台となっている。

写真: Motorsport.com Japan

 前述の通り、筐体は実際にスクールカーとして使われた本物のカーボンモノコックが使用されている。HRSのスクールカーは2024年から新型に代替わりしており、役目を終えた旧型モノコックを活用する形だ。

 本物のスクールカーが使われているということは、佐藤琢磨、角田裕毅、岩佐歩夢ら、HRSを巣立ったホンダのトップドライバーたちが実際に乗った車両であり、彼らの血と汗、魂が宿ったものとなっている。イベントに出席した現役スーパーフォーミュラ、スーパーGTドライバーの小出峻も、岩佐と同じ2019年の卒業生。HRSでは受講生が使用する車両のシャッフルが行なわれているため、販売されるそれぞれの車両には「ほとんどのホンダドライバーが乗ったことがある」のではないかと語った。

 売りはそういった情緒的なものだけではない。レーシングシミュレータとしてもプロを唸らせるものとなっている。

 ステアリング、ペダルといったいわゆる“ハンドルコントローラ”類はハイエンドブランドのFanatec製を採用(モニター・ゲーム機は付属なし)。6.2chサラウンドと専用バイブレーションユニットにより、高い没入感を実現している。複数のスピーカーがプレイヤーを囲み込み、サブウーハーを内蔵することによって低周波の音もカバー。さらにプレイヤーにかかる振動は、縁石に乗った時などに限らず、ストレートで車両がボトミングする際の振動も再現されている。小出も、そういった振動の部分はシミュレータの中でも一線を画するものだと評する。

 またユーザビリティにも優れている。当然本物のモノコックを使っているためコックピットは狭く、ほとんど寝そべるような姿勢になるまで潜り込まなければいけないため大変だが、この筐体はサイドポンツーンが踏み台代わりになっている。乗降のしやすさは特筆すべき点だ。

写真: Motorsport.com Japan

 イベントでは小出が実際にデモ走行を披露。グランツーリスモ7を使い、スーパーフォーミュラSF23で鈴鹿サーキットを走った。かつての“教習車”に乗り込むこともあって緊張気味であったが、周りの音が聞こえなくなるほどの圧倒的な没入感に感心していた。曰く、「今まで乗ったグランツーリスモでは一番没入感がある」とのことだ。

 なお、『Honda eMS SIM-01』に関しては、正規販売代理店であるZENKAI RACINGのWebサイトから購入可能。レンタル窓口はHRC([email protected])となる。

 
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