公益通報後に仕事干され… 女性社員「専門職のキャリア失った」

「公益通報」を問う

 きょうも仕事がほとんどない。

 製薬会社に勤める小林まるさん(仮名)は毎朝、自宅でパソコンを立ち上げて前日の勤務時間を入力したら、すぐにパソコンの電源を切る。

 業務と言えるのはそれくらいだ。

 時折、会社貸与のスマートフォンが鳴り、メールの受信を知らせる。そのほとんどは病院にメールを転送すれば終わる単純な作業だという。

 定例で開かれる社内のウェブ会議には参加するものの、話すべきことがなく、仕事内容を報告する社員の姿を黙って眺めているだけだ。

 「メールで会社に作業を命じられることもあるため、外に出るわけにもいかず、ただ自宅に待機しています」

 望まぬ配置転換をされてから、もう7年がたとうとしている。

 発端は「患者さんの命を救いたい」と思い、会社の不適切な行為を告発したこと。

 調査した厚生労働省は会社を指導し、問題は是正された。

 「誰かが止めないといけない不正でした。通報したこと自体に後悔はありません」

 誤算があるとすれば、公益通報者保護法が自分を守ってくれると信じてしまったことだ。

「命に関わる」営業トークに衝撃

 小林さんが製薬会社「アレクシオンファーマ」(東京都港区)に入社したのは2013年3月。

 医療機関を訪問し、自社の医薬品の効能や安全に関する情報を医師らに提供するMCC(メディカル・カスタマー・ケア)として中途採用された。一般的にはMR(医薬情報担当者)と呼ばれる専門性の高い営業職だ。

 原則として在宅勤務で、香川県に自宅があるため四国近辺が担当地域になった。

 会社の不正に気づいたのは入社直後。前任者に同行して医療機関を訪問した時、その「営業トーク」に耳を疑った。

 血液に関する指定難病「発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)」の治療薬である「ソリリス」が、薬の有効性が確認されていない別の疾患にも効果があるかのような説明をしていたからだ。

 放置すれば患者の命に関わる――。

 すぐさま、不適切な宣伝活動だとして上司に内部通報した。

 この後、会社から小林さんは仕事を与えられなくなっていきます。司法の場に訴えて事態打開を図る小林さんを待っていたのは「悪魔の証明」でした。

浴…

関連記事: