「斎藤元彦」「斎藤知事」「さいとう元彦」…SNS上の呼び方で「アンチ」が分かる? 投稿を分析
神戸新聞が19日に配信した記事「斎藤元彦知事めぐる『X』投稿、9割が兵庫県外から発信」で、取材班が投稿ワードを「斎藤元彦」で抽出したことに対し、読者から「フルネームで書くのは知事に否定的な見解を持つ人が多い。多角的に見てほしい」という旨の声が寄せられた。そこで「斎藤知事」「さいとう元彦」と合わせて調べると、確かに三つのワードで支持・不支持の割合に違いは見られたが、県外の投稿が8~9割を占める状況は変わらなかった。(特集取材班)
元記事では民間ツール「ソーシャルインサイト」を使い、交流サイト(SNS)の「X(旧ツイッター)」で「斎藤元彦」のワードを含む投稿を分析。投稿数は知事選投開票日の昨年11月17日の1日間で約27万件、発信地はおおむね東京3対兵庫1の比率だったと伝えた。同ツールは、投稿者のプロフィルから都道府県別の割合を推定できる。
記事配信後、Xやニュースサイトのコメント欄で、知事にフルネームで言及するのは「アンチ斎藤知事」だとする意見が散見された。そこで「斎藤知事」「さいとう元彦」という二つのワードも調べてみた。
まず「知事をどのように書くかで支持・不支持が違う」との声について。
同ツールを使って最近の90日間(1月23日~4月22日)で、3ワードの各上位200件に入った人気投稿に着目。中立の内容や報道機関による投稿を除いた上で、記者が一つずつ内容を確認して分類した。
その結果、「斎藤元彦」では、確かに斎藤知事に否定的な意見が肯定的な意見の7倍以上あった。これに対し、「斎藤知事」では賛否が拮抗(きっこう)し、わずかに知事を批判する投稿が多かった。「さいとう元彦」でも賛否は同数に近く、わずかに支持の声が上回った。
昨年1年間の総投稿数は「斎藤元彦」が約466万件、「斎藤知事」は約540万件、「さいとう元彦」は138万件だった。
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では、表記によって発信地に違いは見られるか。
投稿数のピーク時で比較すると、「斎藤元彦」で最多だったのは昨年11月17日の知事選投開票日で約27万件に上り、兵庫からの発信は10・1%で、東京28・1%、関東圏45・9%、大阪12・4%だった。
これが「斎藤知事」では最多が11月26日となり、投稿数は約19万件。斎藤知事の再選後、後に公選法違反容疑で刑事告発されるPR会社のブログが問題視されだした時期に当たる。発信地の内訳で兵庫は7・5%しかなく、東京30・2%、関東圏49・8%、大阪11・1%だった。
「さいとう元彦」で見ると、ピークは投開票前日の昨年11月16日で約11万4千件。兵庫は13・8%、東京23・6%、関東圏36・8%、大阪18・6%となった。
ピーク時だけでなく、昨年の年始から四半期ごとの推移で見ると、当初4割ほどあった兵庫の比率が投稿数が激増するにつれて低下し、夏には東京が1位になる。これは「斎藤元彦」「斎藤知事」「さいとう元彦」のいずれについても共通した傾向だ。
今年1~3月で見ると、「斎藤元彦」の発信地は兵庫が12・3%、東京は27・9%、関東圏45%。「斎藤知事」は兵庫15・9%、東京23・3%、関東圏39・4%。「さいとう元彦」は兵庫14・9%、東京23・6%、関東圏41・2%だった。
肯定的な意見が比較的多い「斎藤知事」や「さいとう元彦」の方がやや兵庫の発信割合が多い傾向にある。ただいずれも県外からの投稿が大多数を占めた。