「夜空の2大スター」は合体して1つになる。確実に

アンドロメダ銀河 Image: NASA/JPL-Caltech

合体の可能性低下よりも、合体確実の話のほうが気になります…。

地球が属する天の川銀河は、隣にあるアンドロメダ銀河と衝突する可能性が高い。そんな予測が出たのは、もう10年以上も前のこと。2つの銀河が衝突・合体して「ミルコメダ(Milkomeda)」という名前の新しい銀河になると考えられていましたが、科学誌Nature Astronomyに発表された研究結果によると、そのシナリオはどうやらそんなに確実じゃないみたいですよ。

天の川銀河とアンドロメダ銀河の衝突確率は約50%

国際的な研究チームは、ガイア計画とハッブル宇宙望遠鏡から得た最新データを統合して今後100億年間の天の川銀河の動きをシミュレーションしました。

このコンピューターモデルでは、天の川銀河やアンドロメダ銀河を含む「局所銀河群」に属する他の銀河の最新の質量評価も反映されています。シミュレーションの結果、今後100億年以内に2つの銀河が衝突する確率は約50%に過ぎないとのこと。これは以前の研究で得られた同様の結果を裏付けるものなのだとか。

Image: NASA / ESA天の川銀河とアンドロメダ銀河の衝突に関する3つのシナリオ。2つの銀河が10万光年の距離まで接近すると衝突が発生

ヘルシンキ大学とダラム大学の専門家を含む研究チームは論文で以下のように述べています。

「私たちは、ガイアとハッブル宇宙望遠鏡による最新かつもっとも正確な観測と、最近のコンセンサスを得た質量評価を組み合わせて、局所銀河群が今後100億年間でたどる可能性のある将来のシナリオを導き出し、その進化における不確実性の主な要因を特定しました。

すべての銀河の現在の位置、動き、質量の不確実性によって、まったく異なる結果になる可能性を残しており、今後100億年の間に天の川銀河とアンドロメダ銀河の合体が起こらない可能性が50%に近いことがわかりました」

大マゼラン雲が衝突・合体を阻止?

惑星が互いに重力で引き合うのと同じように、銀河も近くの銀河同士で影響を与え合っています。具体的には、アンドロメダ銀河やさんかく座銀河、そして天の川銀河の周辺を公転する伴銀河である大マゼラン雲が、天の川銀河の進路に影響を与えています。

研究チームによると、これまでの分析で天の川銀河とアンドロメダ銀河が合体する確率が高めに見積もられていたのは、大マゼラン雲の重力の影響を考慮していなかったからなのだそう。彼らは論文で「大マゼラン雲の軌道は銀河系とアンドロメダ銀河の軌道と垂直に走っているため、合体の可能性を低下させています」と説明しています。

まだまだ多い未知の要素

今回のシミュレーションで不確実性が考慮されていることも、天の川銀河とアンドロメダ銀河が合体する確率を低下させた要因のひとつとのこと。

それでも、最新の情報をもってしても、まだ未知の要素が数多く残されているため、天の川銀河とアンドロメダ銀河が今後どう動くのかを正確に予測するのは難しいと研究チームは強調しています。

ただし、今後さらにガイア宇宙望遠鏡からデータが集まれば、予測の精度がもっと高まる可能性もあるそうです。

天の川銀河と大マゼラン雲の合体は確実に起こる

「ミルコメダ」が現実になることはないかもしれませんが、研究チームは今後20億年以内にほぼ確実に起こると考えられる別の衝突・合体を発見してしまいました。

なんと、天の川銀河と大マゼラン雲が合体しちゃうそうですよ。論文には、「本研究のシミュレーションにより、天の川銀河とアンドロメダ銀河が合体する前に、大マゼラン雲と天の川銀河が確実に合体することが示されました」と書かれています。

天の川銀河が大マゼラン雲を吸収したり、両者が衝突・合体するかもしれないというこれまでの見解から相当なアップデートです。って、ちょっと待って。「ミルコメダ銀河」になる前に、別の名前の銀河になっちゃうかもしれないってこと?

とはいえ、それでも研究チームは、「私たちの銀河の運命は、まだ完全に決まったわけではありません」と結論づけています。

大マゼラン雲と天の川銀河が合体したらどう呼ぶのか、吸収だったら名前は据え置きになるのかが気になります。

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