出生体重800gに満たない双子の息子。「親のかかわりで発育が促される」入院中に経験したNIDCAP(ニドキャップ)とは?【超低出生体重児】(たまひよONLINE)
早産で生まれた赤ちゃんは、生後72時間はとくに注意が必要といわれています。 「双子を妊娠したときから早産のリスクについては調べていました。出産後、医師は私にはとくに何も言いませんでしたが、夫には『生まれて3日間は、脳出血などの危険がある』と伝えていたそうです。 また長男は生後2週間で、動脈管開存症(どうみゃくかんかいぞんしょう)と診断されました。動脈管開存症は、本来なら出生後に自然に閉じるはずの動脈管が開いたままになる病気で、とくに小さく生まれた赤ちゃんに見られるそうです。 私が出産したのは、墨東病院でしたが、長男は手術のために別の病院に搬送されました。手術は無事に終わり、長男は5日ほどで、墨東病院に戻りました」(友理さん)
友理さんたちは、墨東病院で、NIDCAP(ニドキャップ)の考え方で双子のケアをしました。 NIDCAPとは、早産児の成長発達と親子の関係性をはぐくむことを目的とした、新生児の神経行動発達理論と科学的根拠に基づいたケアプログラム。海外では取り入れている施設が多く、日本でも2025年現在、15施設で導入やトレーニングが行われています。NICUでの赤ちゃんのケアについて、医療従事者のみが行うのではなく、保護者ができるところは積極的にかかわってもらうという考え方です。 墨東病院もNIDCAPを取り入れています。 「赤ちゃんが生まれて10日ぐらいたってから、夫婦でNIDCAPの説明を受けました。先生は『海外ではNIDCAPの導入が進んでいる』『小さく生まれた赤ちゃんも早期からママ・パパがかかわることで発達にいい影響がある』というような説明を受けて、『もしよろしければNIDCAPをしてみませんか? 』と聞かれました。 夫も私も迷うことなく、『ぜひお願いします』と答えました」(友理さん) 友理さんは、NIDCAPの考え方を通して、小さな息子たちと積極的にかかわり始めました。 「搾乳した母乳をシリンジで飲ませたり、絵本を読み聞かせたり、採血のときは赤ちゃんを手で包むホールディングをしたりしました。長男の朗久は790g、二男の朋久は786gで生まれたので、『こんなに小さいのに、こんなふうに触れ合えるの? 』と驚きました。採血や眼底検査のあと、私がホールディングすると泣きやむのも早いように感じました」(友理さん)
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NICUでは、保育器の中で赤ちゃんの体位を安定させる目的などで砂のうという小さくて軽いクッションのようなツールを使っています。大きさやサイズはいろいろありますが、100g~300gぐらいが一般的です。 「双子が生まれたばかりのとき、朗久の保育器ではパンダ柄の砂のうカバーが、朋久の保育器ではカブトムシ柄の砂のうカバーが使われていました。それがかわいらしくて、あたたかくて、まだ名前が決まっていなかった長男を『パンダくん』、二男を『カブトムシくん』と呼んでいたこともあります。 聞いたところでは、NICUの保育器で使われる砂のうのカバーには赤ちゃんの顔色がよくわかるようにという意味で白無地のカバーが使われることが多いそうなのですが、墨東病院では手作りのかわいい柄のカバーを使っていました。看護師さんが作ってくれたものです。 手作りのカバーを手に取ると『頑張ってね!』と応援してもらっているようでうれしかったです。産後間もない時期は、自分を責めたり、落ち込んだりしていたので…。 しだいに夫と私も、ミシンで砂のうカバーを作るようになりました。 夫は『息子たちのために何かしてあげたい』という思いが強かったようで、仕事から帰って来ると、深夜までミシンをかけながら、一生懸命砂のうカバーを作っていました。2人で作った砂のうカバーは43枚。サイズはさまざまで、バスタオルをU字状に入れるカバーなども作り、墨東病院にも寄付しました。微力だけど、私たちと同じような赤ちゃんとママ・パパの力になりたい! と思ったんです。 今でも手元に砂のうはいくつかあり、息子たちが愛用しています」(友理さん)
長男・朗久くんと二男・朋久くんが退院したのは、出産から約4カ月後。2人はすくすく成長し、退院したときの体重は、長男の朗久くんが3852g、二男の朋久くんが3728gでした。 「長男・朗久の未熟児網膜症(みじゅくじもうまくしょう)の経過観察が続き、少し入院が長引きました。二男・朋久は先に安定していましたが、双子は一緒に退院というのが病院の方針のようで、朗久の状態を待って、2人一緒の退院になりました。 また、長男は水腎症(すいじんしょう)とも診断されました。水腎症とは、尿の通り道が何らかの原因で狭くなっていたり、もしくは膀胱から尿が逆流したりするため、腎臓に尿がたまってしまう病気です。成長とともに改善していくとのことでしたが、小さいうちは尿路感染症になるリスクが高いとか。 実際、退院から約4カ月たったころ朗久が急に38.4度の熱を出し、尿路感染症と診断されて1週間ほど入院しました。 同じ時期に二男・朋久も風邪から、ぜんそくのようになり心配しました。 ですが、退院後のトラブルや体調不良はそのくらいです」(友理さん) 朗久くんと朋久くんは2026年3月で1歳になりました。つかまり立ちを始めて、ますます目が離せないように。 「2人とも首がすわったのは、修正月齢(生まれた日ではなく、出産予定日を基準に数える月齢)3カ月、おすわりしたのは修正月齢6カ月です。離乳食を始めたのは、おすわりをしてからです。2人とも食欲旺盛で、さつまいもやバナナなど、甘いものが大好きです。1歳になり、長男・朗久は体重8kg、二男・朋久は体重10kgになりました。できることも増えてきて、1歩1歩成長しています。 長女は、おもちゃのチェーンをつないだりして、手作りおもちゃをよく作ってくれます。2人とも長女と遊ぶのが大好きです。 甘えん坊で抱っこが大好きな長男・朗久と、マイペースで大きな声で泣く二男・朋久。生まれたばかりのころは『無事に育ってくれるのかな? 』と不安もいっぱいでした。でも『ゆっくりだけど、確実に成長している! 不安もあるけど、きっと大丈夫!』と、今は2人の成長を温かく見守れるようになりました」(友理さん)