虎の子のチャンス生かせず4オーバー発進 松山英樹「ああいうのがうまく打てれば…」
◇メジャー第3戦◇全米オープン 初日(12日)◇オークモントCC(ペンシルベニア州)◇7372yd(パー70)
前半15番、残り197ydからのセカンドで松山英樹は左奥に切られたピンを果敢に攻め込んだ。左横3.5mに絡めた一打は、結果的にこの日最大のチャンスメーク。14番で5Wのティショットを深い左ラフに入れてボギーが先行した直後でもあり、まさに絶好機といえたが、バーディパットはカップ左を抜けていった。
「ああいうのがうまく打てればと思っていたんですけど、なかなか…。うまくいかなかったですし、ラインの読みも全然うまくいかなかったですね」と唇をかんだ。パッティングが外れた後、歩き出そうとしてから立ち止まってラインを確認した所作からもイメージとボールが転がる軌道にズレがあったことをうかがわせた。
続く16番(パー3)で2つ目のボギー。左ラフからカップに向かう高速ラインに落とした柔らかい出球のチッピングでスキルの高さを見せつけながら、2.5mのパーパットがわずかに右へ切れてくれない。右ラフからレイアップした18番でもボギーが重なった。
開幕前日は練習場での調整となり、最後にコースを回ったのは10日の火曜日。まとまった雨が降った後でかなりソフトになっていた2日前からはコンディションも大きく変わっていたとみられるが、「前回も出ていますし、変化することは想定済みなので」。オークモントCC開催だった2016年も悪天候で初日はプレーできず、2日目に36ホールを回った。短いスパンでも天候次第で著しい変化があることは身をもって経験している。
だからこそ、自らの状態にシビアな目を向ける。開幕2日前、「良くはなってきていると思う。これをあした(水曜日)最後に詰められるか」と話していたショット面は「試合になると良くなかったですね」。後半4番(パー5)で唯一のバーディを奪っても、6番(パー3)から2連続ボギーを喫した。6番で短い距離がカップに蹴られた後、7番はティショットを左バンカーに突っ込んで出すだけ。狭いフェアウェイを捉えた確率は50%(7/14)にとどまり、我慢を強いられるシーンに直結した。
13年連続13回目の全米オープンは4オーバー「74」でのスタート。ラウンド中、大会前からテーピングを貼って調整していた首を気にするシーンは目立たなかった。状態について問われ、「回れて良かったんじゃないですか」というコメントから油断ならないことは想像がつく。
9年前は「74」「78」で大会唯一の予選落ちを喫しているコース。「アンダーパーで回ったことがないので、回れるように頑張りたい」。ホールアウト後にケアを挟んで行ったパットとショットの調整からもメジャーにかける覚悟がにじんだ。(ペンシルベニア州オークモント/亀山泰宏)