画面が伸びる! 勝手に回る! デジタル文房具の未来を拓くLenovoの“変態ギミック”搭載PC 3選:CES 2026(1/3 ページ)

 なぜノートPCに、ここまでの“ビックリドッキリ”なメカを組み込まなければならないのか――そんな質問は“やぼ”だ。今やノートPCは、消費物としての情報デバイスであり、デジタル文房具といってもいい。だからこそ、そこに楽しさや新発想を盛り込んでみようと、開発者は情熱を燃やすのだろう。

 かつて、こうしたビックリドッキリなアイディア商品は日本メーカーも得意としていたのだが、消費物としての情報デバイス、言い換えると「安くてうまい」に注力しすぎた結果、この分野への情熱は失われ気味なように見える。アナログ文房具の方では、まだこの情熱が残っているという風のたよりは聞くが。

 さて、そんなビックリドッキリメカ的なノートPCを作らせたら、近年はトップクラスのLenovoが、2026年もCESに合わせて面白おかしい新スタイルのノートPCを3台も発表していたので、少し時間はたったが取り上げることにしたい。

CES 2026のLenovoブース

 LenovoがCES 2026でお披露目したノートPCの1台目は、「Lenovo Legion Pro Rollable」だ。単一の画面が左右に伸びて、横長のウルトラワイド画面に変身するという特徴を持つ。

ウルトラワイド画面に変身するノートPC「Lenovo Legion Pro Rollable」。写真は画面を伸ばしてアスペクト比を24:9にした状態だが、この時点で“なんかスゴい”感がある

 本製品には型番も付いておらず、製品の近くに掲げてあるポップにも「Concept(コンセプト)」とあることからも分かる通り、現時点では技術展示となっている。ただし、「世間の注目度によっては、製品化も考える」と、Lenovoの担当者は話していた。

 Lenovoのゲーミングブランド「Legion」ブランドが付与されていることからも分かる通り、このコンセプトモデルは立て付けとしてはゲーミングノートPCということになる。

 ボディーは16型の「Legion Pro 7i」をベースとしているという。その重量は約2.8kgなので、画面の伸縮機構を含めると、3kg超えは確実だろう。

実際に画面が伸縮する様子

 CPUは、Intel最新世代の「Core Ultraプロセッサ(シリーズ3)」(開発コード名:Panther Lake)を搭載し、外部GPUは、欲張りなことに展示機ではNVIDIAの「GeForce RTX 5090 Laptop GPU」を搭載していた。

 伸縮するディスプレイ部は、有機ELパネルを採用。画面は通常時は2560×1600ピクセル解像度の16型で、ここから“横”に広げることで3840×1600ピクセルの24型に変身する。アスペクト比でいうと、16:10から24:10に切り替わる。

 「ウルトラワイド」の標準的なアスペクト比は21:9だが、本コンセプトモデルの24:10は「少しだけ横長なウルトラワイド」と見ればいい。

 「横に広げたときに、天板はどうなるの?」という疑問を持つ人もいると思うので、24:10モードの時に後ろから捉えた写真を載せておく。

24:10モード時に後ろから写真を撮ってみた。画面の展開部分は、通常(16:10モード)時には、画面の“内側”に収納される構造だ

 24:10モードにすると、左側から640ピクセル、右側から同じく640ピクセル分の表示部が出てくる。これにより、2560×1600ピクセルの画面が「640+2560+640=3840」×1600ピクセルの画面に切り替わる格好だ。

 「画面につなぎ目とかあるんじゃないの?」と思うかもしれないが、正面から見ると分かる通り有機ELパネル自体の表面に継ぎ目はない。要するに、このパネルは3840×1600ピクセルの“1枚もの”だ。通常時は、左右の640ピクセル分の領域が裏側に収納されているということになる。

 すると「どうやって画面をしまっているの?」と疑問が湧いてくるが、そのヒントがモデル名に含まれている「Rollable」だ。ただし、台所などにあるラップのような、文字通りの“芯巻き”ではなく、折りたたみに限りなく近いU字ターンスタイルだと思われる。

 つまり、24:10モード時に全展開していた画面は、16:10モードにすると画面端で一回だけ折り返し、16:10モード時の画面の裏側の中央寄りまで折りたたまれている――そんな感じだ。その根拠は、24:10モード時に露見されることになる「画面の巻グセ」が、16:10モード時の画面端にしか付いていなかったからだ。

 画面横方向のワイド化は、ゲーミング用途もさることながら、映像制作はもちろん一般的なPC操作においても使い勝手を向上してくれそうだ。

このようなローラブルディスプレイの場合、画面の収納は「巻き取り式」か「U字ターン」を取る。本コンセプトモデルは恐らくU字ターン式だろうということで、仕組みを図にしてみた。なお、U字ターン式の画面収納/展開だが、正式には「バイラテラルエクステンション(Bilateral Extension)方式」というらしい

 ところで、「ノートPCの画面を2~3つ横展開する」というコンセプトモデルは、これまで何度か登場している。記憶に新しいのは、CES 2017に出展されたRazerの「Project Valerie」だろうか。これは、製品化されることなくコンセプトに終わってしまった。

 「物理画面×3」のノートPCは、デスクトップ画面の広さが3倍に広がる点で面白かった。しかし、各画面が額縁の部分で、表示できない仕切り(フレーム)が出てしまうところが“玉にキズ”だったのだ。

RazerがCES 2017に出展したの3画面ノートPC「Project Valerie」は、結局発売されずに終わった

 その点、Legion Pro Rollableについては、画面の広がりはそこまでないものの、ベゼルなしで“つながり”のある画面を使える点で魅力的だ。

 ちなみに、最新の有機ELパネルの折り曲げ半径の限界値は、フォルダブルスマートフォン向けで1.5mm程度、今回のようなU字ターン式などでは3~5mmだとされる。最近では、ヒンジ部分の形状をティアドロップ(水滴)型にすることで、有機ELパネルのサインカーブを180度曲げたような折り方にすることで、有機ELパネルへの負担を軽減することも多い。いずれにせよ、U字ターン型の収納機構はフォルダブルスマートフォン向けパネルの機構と比べると有機ELパネルへの物理的負担は小さめだ。

 「スライド式で画面が大きくなる」というアイディアはかつて、スマホでもコンセプトとして登場したことがある。「Samsung Flex Hybrid」「LG Rollable」あたりが有名どころだが、いずれも市販化には至っていない。

Samsung Display(Samsung Electronicsの子会社)が「Intel Innovation 2023」で披露したコンセプトモデル「Samsung Flex Hybrid」は、画面を引っ張り出して広げるタイプだった

 開閉動作の耐久性など、気になる部分はあるが、Legion Pro Rollableは市販化が楽しみな1台だ。

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 最後に紹介する「ThinkBook Plus Gen 7 Auto Twist」は、タブレットに変身できる機構を持つ、いわゆる「2in1ノートPC」だ。ヒンジ部分が電動し、クラムシェルスタイルからタブレットスタイルまでの変形を自動で行うことが特徴だ。

 このモデルは、今回紹介する中では唯一製品として登場するものだ。「IFA 2024」に合わせて披露したコンセプトモデル「Lenovo Auto Twist AI PC」が好評だったことから、製品化が決まったのだという。北米では6月頃の発売を予定しており、最小構成価格は1500ドル(約23万1200円)以上となる見込みだ。

 Lenovoはこうした「面白い2in1ノートPC」を作るのが得意で、2023年には有機ELパネルとE ink画面を表と裏に備えた「ThinkBook Twist」というモデルも発売したことがある。この時のヒンジは電動ではなく手動だったが、ツイストタイプの回転機構を備えるという発想は同じだった。

 今回のThinkBook Plus Gen 7 Auto Twistは、ThinkBook Twistの「オモシロ遺伝子」を継ぐモデルということになる。

ThinkBook Plus Gen 7 Auto Twistは、パッと見では何の変哲もない「ツイスト機構付き2in1ノートPC」にしか見えない

 本製品の基本スペックは、以下の通り。

  • CPU:Core Ultraプロセッサ(シリーズ3)
  • メモリ:最大32GB(増設/換装不可)
  • ディスプレイ:14型有機EL(2880×1800ピクセル/タッチ対応)
  • 重量:1.4kg以上

 電動ヒンジは2軸仕様となっており、2万回以上の開け閉めに耐えられるという。ヒンジの回転角は画面開閉(チルト)方向に0~180度、首振り(パン)方向に270度となっている回転角270度の振り分けだが、「左回転が180度/右回転が90度」となっている。好きなだけクルクルと回すことはできない(回転方向によって限界が存在する)ことに注意したい。

 なお、手動でタブレットモードへ移行するには、画面を垂直に立ててから、左回転で180度“完全に”回し切ってからでないとできない。手動回転タイプと違って、その辺はカッチリしている。クラムシェルモードと、タブレットモードの往来は、電動で実践することが推奨されている。

特徴的な電動ヒンジによって、画面の自動開閉とクラムシェルモードとタブレットモードの切り替えを“電動で”行えるようになっている

 電動ヒンジは、クラムシェルモードとタブレットモードの切り替えが主な用途だ。この切り替えは、音声コマンドや本体を叩くなどのジェスチャー動作で行える。

 また、画面に内蔵されたWebカメラの映像から特定ユーザーの“顔”を探して認識し、そのユーザーをリアルタイム追跡するようヒンジを回転させて「常に画面を見せ続ける」といったギミックもある。これは「Meeting Assistant」と呼ばれる機能だ。

Meeting Assistantのトラッキングモードは、「特定の顔」「特定の話者」「家庭内をうろうろするペット」の追尾を選択できる

 また、画面の前からユーザーが離れたことを自動認識して、電動ヒンジで画面を閉じる操作も行える。これは「Smart Security」という機能だ。

 会場のデモンストレーションでは、Lenovo Qiraが起動すると、画面に大きな2つの目玉が現れ、まるで画面が顔のような感じで、対話相手を探す振る舞いをして、見つけると自然言語で“会話”ができるという様子が披露された。対話は英語以外の言語にも対応しており、Qiraにリアルタイム通訳的な振る舞いをさせる場面もあった。

ビデオ会議でのフェイストラッキングやクラムシェルモードとタブレットモードの移行のためだけに電動ヒンジを搭載するのは、一見すると無駄なようにも思える。しかし、ノートPCを「簡易ロボット」として使える体験が楽しめるのであれば、むしろ安いとすら思える(この辺の判断は人によって分かれそう)。これまた、カフェで使っていたら注目の的にはなりそうだ
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