何かと話題のマルチツール端末「Flipper Zero」新モデルが開発中

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Kyle Barr - GIZMODO US[原文]高橋真紀 / GIZMODOライター )
Image: Flipper

パソコンはもはやパーソナルなものではない。

ドバイに拠点を置くハードウェアメーカー、Flipper DevicesのCEOであるPavel Zhovner氏は、米GIZMODOのインタビューに対し、こうコメントしました。

最近だと「BUSY Bar」と呼ばれるちょっと変わったデバイスをリリースした同社ですが、ガジェット愛好家や開発者たちの間でよく知られているのは、2020年に発売されたネットワークマルチツール端末「Flipper Zeroでしょう。

これはカスタマイズできるように設計された小型PCで、ユーザー自身で機能を追加することが可能です。家電の遠隔操作やセキュリティ強化など多用途に使えます。ギークたちにとっては楽しいおもちゃである一方、あまりにも自由度が高すぎることからハッキングに悪用する輩が多いのも事実です。

Filipper Oneとは?

Flipper OneImage: Flipper

そして現在、次期プロジェクトとして進行中なのが「Flipper One」。これは、LinuxベースのOSを搭載したマルチツールです。Flipper Oneには、Rockchip RK3576プロセッサーが搭載されており、Zhovner氏によれば、このチップはシングルコア性能では若干劣るものの、マルチコア性能ではRaspberry Pi 5を上回るといいます。

Flipperは、このデバイスを主にネットワークやIPベースの通信向けに開発していますが、それはあくまで基本機能にすぎません。

自宅のルーターにディスプレイを追加したい場合や、ホテルのインターネット接続を再設定してより快適な通信速度を確保したい場合、Flipper Oneは非常に便利なツールになるでしょう。それらの用途がなくても、少なくとも他の機器を充電するモバイルバッテリーとして利用可能ではあります。

Image: Flipper

また、Flipperは小型のLinuxデバイスが抱える問題の1つ「使いやすさ」の改善についても取り組んでいます。

LinuxベースのオープンソースOSを搭載した多くの「サイバーデッキ(携帯型の自作コンピューター)」が、スマートフォン程度の小さな画面に表示される極小アイコンをクリックするために、マウスやトラックパッドを必要としていることに気づいたZhovner氏は、ユーザーがシンプルなDパッドと複数のプログラム可能なボタンだけで操作できるように、Flipper Zeroを設計しました。

Zhovner氏は、小型コンピュータ上で複数のユーザープロファイルを有効にしたいと考えており、各プロファイルは、それぞれ異なる用途に対応できるように設計されています。

たとえば、

旅行用ルーター

家庭用テレビボックス

外出先で緊急時に使うデスクトップ環境

といった用途が考えられます。

同氏によれば、多くのLinuxシステムでは用途変更のたびに大規模な再設定が必要になる一方、Flipper Oneではこうした切り替えがスムーズに行えることを期待していると語っています。

しかし、この構想を実現するには、まだ多くの開発作業が必要です。

Flipper Oneは、Wi-Fi 6E、Ethernet(有線LAN)、M.2モジュール経由の5G通信、eSIM、物理SIMカードをサポートすることを目指しています。さらに、本体背面にはPCIe拡張スロットも搭載される予定で、Flipper Oneに標準搭載されていないコンポーネントを追加することも可能だといいます。

Flipper Oneは基本的な形状こそFlipper Zeroに似ていますが、Zhovner氏がビデオインタビューで見せたFlipper OneはFlipper Zeroのほぼ2倍の大きさでした。縦、横、厚みを含めると、「拳1.5個分ほど」のサイズ感です。

Flipper ZeroとFlipper Oneの比較。Image: Flipper

さらに同氏は、Flipper Oneを「マニア向けの機器」と「コンピューターの仕組みに興味を持ち始めた一般ユーザー向けガジェット」の中間に位置づけたいと述べています。これは、クラウドサービスへの依存や、ユーザーによる改造や制御を制限したハードウェアが増え、「PC」がパーソナルなものでなくなるにつれてますます重要になっています。

私が子どもの頃は、PCを買ってコンピューターの仕組みを学ぶだけでよかったんです。起動システムがどう動くのかも最初から理解できたんです。しかし今では、メーカーごとに独自の仕組みが作られ、それらは完全にベンダーロックされています。

このようにZhovner氏は語っています。

悪用される可能性もあるけど…

創業以来、従来のコンピューター業界の常識にとらわれない活動を続けてきたFlipper Devices。その姿勢は、Flipper Zeroをめぐる論争も生み出しました。

無線通信を扱う多機能ツールであるFlipper Zeroは、一部の悪意あるユーザーによってオフィスの社員証などに使われるRFIDスキミングやBluetooth妨害攻撃、自動車への不正侵入に使われ、一部の自治体やカナダなどの国々から問題視されました。

しかし、あらゆるツールと同様に、その用途は単純な善悪で割り切れるものではありません。とあるオタクは、Flipper Zero向けアプリを開発し、スーパーマーケットの「監視価格設定」を妨害する実験を行いました。監視価格設定とは、一人ひとりに対して異なる価格を設定する手法で、消費者搾取だと批判されています。

Flipper Zeroの技術自体が特別新しいものではなかったのと同様、Flipper Oneもものすごく目新しいものではありません。むしろその目的は、既存のLinuxデバイスよりもさらにオープンなPC環境を提供し、「ディストロ(Linuxディストリビューション)」という言葉すら知らない人でも使いやすいインターフェースを実現することにあるのです。

現在、開発中のFlipper Oneですが、Zhovner氏によると、今年後半にKickstarterでクラウドファンディングを開始したいと考えているとのことです。もう1つの大きな問題は価格です。RAMの価格が依然として全体的に高騰しているため、Flipperの目標はデバイスを約350ドル(約5万6000円)で販売することだと同氏は述べています。

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