「親の目前で子どもを殺害」 スーダン・ファシェルの生存者証言

 発信地:ポートスーダン/スーダン [ スーダン 中東・北アフリカ ]

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【11月2日 AFP】スーダン西部ダルフール地方の主要都市ファシェルから逃れた生存者たちは1日、即応支援部隊(RSF)の戦闘員が家族を引き離し、親の目前で子どもを殺害したとAFPに語った。ファシェル陥落後も、市内には数万人が依然として取り残されている。

RSFによる大量虐殺が続いていることが新たな衛星画像で示唆されるなか、ドイツのヨハン・ワデフル外相は同日、スーダンの状況を「黙示録的」と表現した。

2023年4月から正規軍と交戦を続けるRSFは先週、18か月に及ぶ包囲戦の末、広大なダルフール地域における正規軍の最後の拠点だったファシェルを制圧した。

制圧以降、同市では即決処刑や性的暴力、援助関係者への攻撃、略奪、誘拐が相次いで報告されており、通信もほぼ途絶している。

ファシェルから約70キロ離れたタウィラに逃れた6人の子どもの母親ザハラさんは、AFPとの衛星電話のインタビューで「息子のモハメドが生きているのか死んでいるのか分からない。戦闘員らは少年たちを全員連れて行った」と語った。

RSFが支配する近隣の村ガルニに着く前に、RSFの戦闘員らに止められ、16歳と20歳の息子を連れ去られたという。息子たちを解放してほしいと懇願したが、戦闘員は16歳の息子のみを解放した。

別の生存者アダムさんは、17歳と21歳の息子2人が目の前で殺害されたとAFPに語り「RSFの戦闘員は息子たちが(軍のために)戦ったと一方的に主張し、私の背中を棒で殴った」と述べた。

RSFの戦闘員は、アダムさんの服に付いた息子たちの血を見て戦闘員だと非難し、数時間にわたって尋問したという。

国連によると、過去1週間で6万5000人以上がファシェルから脱出したが、なお数万人が市内に取り残されているという。陥落前には約26万人が暮らしていた。

国境なき医師団(MSF)は「多くの人々が深刻な危険にさらされており、RSFとその同盟勢力によって安全な地域への移動を妨げられている」と指摘し、タウィラに到達できたのは5000人ほどとしている。

MSFによると、26日には民間人約500人と正規軍、軍寄りの合同部隊の兵士らが脱出を試みたが、その大半がRSFとその同盟勢力に殺害または拘束されたという。

生存者の証言によると、拘束された人々は性別や年齢、推定される民族によって分けられ、多くが身代金目的で拘束されているとみられるという。

戦時下の人権侵害を記録するため衛星画像や公開情報を分析している米イェール大学の人道研究所は10月30日、ファシェル周辺で大量虐殺が続いている可能性が高いと発表した。最新の衛星画像では市民の大規模な移動の形跡が見られず、住民の多くが「死亡、拘束、もしくは隠れている」と考えられると指摘した。

同研究所は26〜30日にかけて、住宅地や大学構内、軍事施設などで少なくとも31か所に人の遺体とみられる集団を確認したとし、「大量虐殺が続いていることを示す兆候が明確に見られる」と述べた。(c)AFP

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