暗号資産ハッカー、ETHの急騰を悪用──約106億円相当を今週売却(CoinDesk JAPAN)
イーサリアム(ETH)の最近の4780ドルへの上昇は、複数のハッカーに多大な利益をもたらした。彼らは、不正に得た資産を売却することで、この急騰を利用したのである。 Xアカウント「EmberCN」によって明らかにされたオンチェーンデータは、3つのケースにおいて、ハッカーが数千万ドルの利益を得るために、戦略的にイーサリアムを清算したことを示している。 ラディアント・キャピタルが北朝鮮の組織であると主張するエクスプロイターは、昨年10月に同DeFiプロトコルから約5300万ドル(約78億円、1ドル=147円換算)の資産を盗んだ。彼らは、盗難資産の多くを1コインあたり約2414ドルで2万1957ETHに変換し、今週、そのうち9631ETHを4400万ドル相当のステーブルコインに交換した。 彼らは、ステーブルコインでの収益に加えて、依然として1万2326ETHを保有しており、合計では1億100万ドル相当のデジタル資産を保有している。これは、元の盗難資産の価値より約4830万ドル多い額である。 同様の犯行手口が、2月のインフィニのエクスプロイトでも展開された。その攻撃者は、4950万ドルのUSDコイン(USDC)を盗み、1ETHあたり2798ドルで1万7696ETHを購入した。 彼らはトルネード・キャッシュ(Tornado Cash)を通じて5000ETHをマネーロンダリングする一方で、平均3762ドルで3540ETHを売却し、1300万ドル相当のステーブルコインを得た。ETHの上昇は、彼らの残りの盗難資産の価値を膨らませ、最初の盗難に加えて2515万ドルの利益をもたらした。 3番目のケースは、3月にTHORChainとChainflipから1万7412ETHを盗んだ身元不明のエクスプロイターである。この人物はその盗難資産を1コインあたり1947ドルで売却し、3390万ドル相当のダイ(DAI)を手に入れた。 6月に彼らは市場に再参入し、1ETHあたり2495ドルで4957ETHを購入した。その後、8月15日の早朝にそれらを1ETHあたり4464ドルで売却し、2213万ドル相当のステーブルコインを得て、その過程で976万ドルの利益を上げた。 これら3つのケースはすべて、ハッキングが横行した18カ月間に行われた。投資家らは、2025年上半期に31億ドル、2024年には14億9000万ドルを失った。 |翻訳・編集:山口晶子|画像:Shutterstock|原文:Crypto Hackers Capitalize on ETH Surge, Offloading $72M This Week
CoinDesk Japan 編集部