「脳外科医 竹田くん」モデルの元執刀医、12日判決 患者に両脚麻痺の後遺障害を負わせた罪でおととし起訴…「医師免許はく奪」の条件は?
赤穂市民病院(兵庫県赤穂市)で2020年に発生した医療事故で業務上過失傷害罪に問われた松井宏樹被告に、3月12日、神戸地裁姫路支部で判決が言い渡される。検察は2月18日の論告弁論で禁錮1年6か月を求刑している。
松井被告は2019年7月から21年8月まで同病院の脳神経外科に勤務していたが、その間、患者が後遺障害を負う、死亡するといった8件の医療事故に関与。一連の事故をもとに被害者の親族が描き、WEB上で公開している漫画『脳外科医 竹田くん』も話題となった。
このうち、20年1月に発生した事故について、松井被告は当時74歳だった女性の手術を執刀医として行った際、医療用ドリルで誤って脊髄の神経を切断し、両脚の麻痺などの後遺障害を負わせたとして、24年12月に在宅起訴されていた。
なお、当該の医療事故を巡っては、被害女性と家族が損害賠償を求めた民事裁判で、神戸地裁姫路支部が昨年5月、松井被告と赤穂市に対し、合わせて約8800万円を支払うよう命じている。
医師免許はく奪のハードルは高い
松井被告は2021年8月に赤穂市民病院を依願退職した後も、関西圏の複数の病院で医師として勤務していたが、ここでもミスを繰り返していたとされる。患者としては「なぜこれほどのリスクを抱えた人物が現場に立ち続けられるのか」と不安を抱くのは当然といえるが、日本の法制度上、医師免許の効力を止めるハードルは極めて高いのが実情だ。
そもそも、医療行為における過失が刑事裁判にまで発展すること自体、現在の日本の医療現場では珍しいケースといえる。通常、診療中の事故は民事上の賠償で解決されることが多く、警察が介入し刑事事件として立件されるには、基本的な注意義務の欠如など、相応の背景が考慮されるためだ。
医師免許が制限される「5つの基準」
では、どのような状況になれば医師としての身分を失う可能性があるのだろうか。医師法7条1項、4条各号では、厚生労働大臣が免許の取り消しや業務停止を行える基準を定めている。主な項目は以下の通りだ。
①視覚・聴覚・音声・言語機能または精神の機能の障害により、医師の業務を適正に行うにあたって必要な認知・判断・意思疎通を適切に行うことができない場合 ②麻薬・大麻・あへんの中毒者 ③罰金以上の刑に処せられた場合 ④上記項目(①~③)のほか、医事に関し犯罪または不正の行為のあった場合
⑤医師としての品位を損するような行為があった場合