トルコ外相、シリアの分裂阻止に決意 直接介入辞さない姿勢
[アンカラ 22日 ロイター] - トルコのフィダン外相は22日、シリア南部スワイダで起きた少数派イスラム教ドルーズ派とベドウィン(遊牧民)部族勢力による衝突などを踏まえ、シリアを分裂させようとする試みを阻止するために直接介入も辞さない姿勢を明らかにした。アンカラで記者団に対し、武装勢力による自治権獲得などの動きを阻むと述べた。
フィダン氏による警告は、イスラエルを念頭に置いたものとみられる。イスラエル軍は16日にシリアの首都ダマスカスを攻撃するなど、シリア暫定政府への圧力を強めている。トルコはイスラエルによる攻撃を、シリアの和平と治安確立に向けた取り組みを妨害する行為だとして非難している。また、南部スワイダでの衝突は、イスラエルが地域の不安定化を狙った施策の一環だと見ている。
北大西洋条約機構(NATO)加盟国でもあるトルコは、シリアの暫定政府を支持し、ドルーズ派とベドウィン部族勢力の停戦を求めている。
フィダン氏は、イスラエルがシリアの分裂による弱体化を狙っていると主張。クルド人武装組織「クルド人民防衛隊(YPG)」戦闘員がこうした混乱に乗じようとしているとも指摘した上で、「これでは何も解決しない。いかなる集団も分裂を招くような行為に関与すべきではない」と強調した。外交協議が基本路線だとしつつ「分裂や不安定化をもたらせば、われわれは安全保障への直接的な脅威とみなし、介入するだろう」と述べた。
トルコ政府は、米国と連携するクルド人主体の民兵組織「シリア民主軍(SDF)」につながるYPGをテロ組織とみなし、国境を越えた作戦を複数回実施している。また、イスラエルはドルーズ派を保護するため、シリア国内の標的を攻撃したと主張している。
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