市況 - 株探ニュース

株式評論家 植木靖男
「大きく下げたハイテク株も狙い目か」 ●景気対策次第ではバブル的上昇も

 日経平均株価は足もとで急騰をみせている。チャート的には本年1月7日高値の4万0288円から4月7日安値の3万0792円まで、3カ月で9500円近くも下げ、黄金比率による下値に届いたことがあげられる。そこから上昇に転じたのだ。5月2日には3万6976円と下げ分の65%も戻した。TOPIXに至ってはおよそ80%も戻している。

 このようになると、当然のことながら市場の先行きに対する見方が分かれてくる。この下げが一本底となったと見る者がいる一方で、否、高値買いした向きがいよいよ投げてくると警戒する投資家も現れ、強弱感の対立が強まることになる。  どちらが正しいか? 株式市場の急落をもたらした元凶は、米国のトランプ大統領が打ち出した高関税政策である。市場はこの影響を計りかねている。  米国と中国による報復的な関税の応酬は相討ちにみえるが、先に仕掛けた米国の傷口は相当に深いようだ。中国に対する恐れや焦りが米国を突き動かしていると推察されるが、どう考えても米国が不利だ。中国は保有する米国債の売却というカードを有するうえに、軍事・先端産業で必須となるレアアースの採掘・精製で圧倒的優位に立つ。また、米国内で流通する日用品なども多くは中国製品だ。いずれ米国は振り上げた拳を下ろすことになろう。  しかし、それまでは高関税で苦しむ日本などは景気対策で思い切った手を考えざるを得ない。いまの日本の政治はこれまでと違って少数与党だ。しかも都議選、参院選が控えている。石破政権はどのような手を考えるのか。首相が“国難”という言葉を口にした以上、その脳裏にはすでに打つべき手は固まっているとみる。通常の景気対策では通用しない。  今後、野党が主張する通り消費税、所得税を緩和するとすれば、政府としてはそれをカバーするのはインフレ税しかない。株価は先行き思いもよらぬ上昇をみせることになろう。政策次第によっては歴史が示すように平成バブルを思い起こすような株価上昇が現出することになろう。  ここへきて多くのアナリストが年内株価の上限は4万円~4万2000円処と予想している。過去の経験でいえば、アナリストの上限予想がほぼ同じ水準に集まるのならば、実際にはそこまで届かないか、逆にはるかに上回ることが多い。要は政策次第ということだ。 ●騰落の基準線を指呼の間に捉える  当面の株価だが、5月2日時点で日経平均株価は7連騰を演じている。過去の経験則では7~10日の連騰が一服のタイミングだ。折しも24年来、75日移動平均線が騰落の基準線となっている。現在その水準は3万7152円であり、日経平均株価は間近に迫っている。注目したい。  では、この局面での物色対象はどうみるか。これまでは内需株が主力であったが、ここへきてNT倍率からみてもハイテク株の中に芽を出す銘柄が散見される。  いまは決算発表シーズンたけなわである。ハイテク株の中でも業績にゆとりのある銘柄は買われ始めている。

 今回は、ハイテク株からニデック <6594> [東証P]、アドバンテスト <6857> [東証P]。また、内需からは不動産の三菱地所 <8802> [東証P]、貴金属回収のアサカ理研 <5724> [東証S]など。また、前回も紹介したが、米価高騰で代替となる食品から山崎製パン <2212> [東証P]やキユーピー <2809> [東証P]などはどうだろうか。

 このほか、電力インフラ関連の明電舎 <6508> [東証P]なども注視したい。

2025年5月2日 記

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