T・レックスの祖先、7000万年前にアジアから北米に到達か 新研究

肉食恐竜ティラノサウルス・レックスの直系の祖先は、アジアから北米に到達した可能性があるとの研究結果が報告された/Pedro Salas/Sergey Krasovskiy

(CNN) 肉食恐竜ティラノサウルス・レックスの直系の祖先は、アジアから「陸橋」をわたって北米に到達したと考えられるとの新たな研究結果が発表された。今回の報告は、恐竜の王者の起源をめぐる激しい論争に新たな一石を投じるものだ。

ユニバーシティー・カレッジ・ロンドン(UCL)の博士課程の学生カシアス・モリソン氏が率いるチームが数学モデルを用いて、ティラノサウルス・レックスの祖先は約7000万年前に現在のシベリアとアラスカの間のベーリング海峡を渡って北米に到達した可能性が高いとの結論を導き出した。

モリソン氏は声明で、今回の発見について、ティラノサウルスが北米の捕食者の頂点であるダスプレトサウルスよりも、アジアの大型肉食動物タルボサウルスに近いことを示唆する過去の研究結果と一致すると述べた。

モリソン氏はCNNの取材に対し、この地域は当時、温帯雨林が広がり、気候は現在のカナダ・ブリティッシュコロンビア州にある程度似ていたと述べた。

モリソン氏によれば、ティラノサウルス・レックスの祖先であるティラノサウルス科の恐竜は、今日のライオンなどの頂点の捕食者と同様に、捕食していた草食恐竜と比べて生息環境内での個体数が少なかったとみられる。

「そして、個体数が少ないため、化石記録に保存される可能性も小さい」(モリソン氏)

モリソン氏によれば、こうした証拠不足に直面したため、代わりに、既存の化石記録とティラノサウルス・レックスの系図、気候や環境条件のデータを取り入れた数学モデルを活用した。

このモデルは化石記録の空白部分も考慮に入れているため将来の研究で新たな発見があれば、モデルを更新することも可能だという。モリソン氏によれば、今回の研究結果はティラノサウルス・レックスの祖先の化石が未発見のままアジアに眠っている可能性を示唆している。

研究チームは、地球の気温が低下していた時期に、ティラノサウルス・レックスなどのティラノサウルス科の恐竜の体が急激に大きくなったことも発見した。これは、これらの恐竜が羽毛を備えていたり、より温血だったりしたことで、寒冷な気候で繁栄する能力があった可能性を示唆している。

発表によれば、急速な体の成長は、カルカロドントサウルス科として知られる別の巨大肉食恐竜のグループが絶滅し、「食物連鎖の頂点に空白」が生じた後にも起こった。

こうした巨大化によって、恐竜が絶滅したころには、ティラノサウルス・レックスの体重は最大9トンに達していた可能性がある。これは、非常に大きなアフリカゾウや軽戦車とほぼ同じ重さだという。

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