ウクライナ、膨大な戦場データが交渉カード 計り知れない価値と副首相

ウクライナは、対ロシア戦で大量に収集した貴重な戦場データを同盟国とどのように共有するか検討しており、こうしたデータを友好国からの支援を巡る交渉における強力なカードと位置付けている。フェドロフ副首相兼デジタル転換相が26日、ロイターのインタビューで明らかにした。写真はインタビューを受けるフェドロフ副首相(2025年 ロイター/Anna Voitenko)

[キーウ 27日 ロイター] - ウクライナは、対ロシア戦で大量に収集した貴重な戦場データを同盟国とどのように共有するか検討しており、こうしたデータを友好国からの支援を巡る交渉における強力なカードと位置付けている。フェドロフ副首相兼デジタル転換相がロイターのインタビューで明らかにした。

フェドロフ氏は「われわれが手にしているデータは、どの国にとっても計り知れない価値がある」と述べ、ウクライナは現在「(このデータの)共有に関して非常に慎重だ」と付け加えた。

<数百万時間もの戦闘映像>

人工知能(AI)モデルを訓練し、パターンの認識や予測を行わせるには膨大な量のデータが欠かせない。急成長する防衛産業ではこうしたデータの需要が特に高まっている。

ウクライナは2022年のロシアによる侵攻以来、大量の戦場データを詳細に収集。ドローン(無人機)による戦闘が増加する中、既に数百万時間に及ぶ空撮による戦闘の映像を保有している。

フェドロフ氏はトランプ米大統領が2月の会談でウクライナのゼレンスキー大統領に対して「あなたはカードを持っていない」と述べたことを念頭に、「こうしたデータは、われわれの同盟国やパートナーが言うように、ウィンウィンの関係を築くための『カード』のひとつだと思う」と述べた。

<戦場が新兵器の試験場>

ウクライナは外国の防衛企業に対し、同国を新兵器の試験場として利用するよう呼びかけている。フェドロフ氏によるとこれまでに約1000件の応募があり、そのうち50種類の製品がウクライナに持ち込まれている。

ウクライナはドローンの操縦を支援するために人工知能(AI)を活用しており、米国のデータ解析企業パランティアのAI技術を幅広く導入している。また完全自律型ドローンシステムの開発にも取り組んでいる。今では戦場で攻撃されたロシアの標的のうち80-90%はドローンによって破壊されたという。

この比率は2024年から上昇した。24年にはウクライナが攻撃した軍隊の約70%、車両の75%はドローンによる攻撃だった。

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