【困惑】「日本はオーバーツーリズムに甘すぎる」人口1800人の町に年間48万人が殺到『伊根の舟屋』に押し寄せる“観光公害”の波(2025年10月4日掲載)|YTV NEWS NNN
京都市中心部から車で約2時間ののどかな町、京都・伊根町。江戸時代から続く風情ある景色は“日本のベネチア”とも称され、地元の人々から愛されてきました。そんな伊根町では今、急増する観光客に、住民から悲痛な声が上がっています。
国の重要伝統的建造物群保存地区『伊根の舟屋』は、1階が船を収納できる建物で、まるで海に浮かんでいるように約230軒が軒を連ねています。人口は約1800人ですが、その約270倍となる48万人の観光客が訪れました(2024年度)。
急増する観光客の迷惑行為に、地元住民からは困惑の声があがっていて、伊根町観光協会がHPに「伊根の舟屋は個人の所有物、住民の生活の場です。名所旧跡・観光地ではありません」と記載する事態となっています。
『伊根の舟屋』周辺は鉄道が通っておらず、多くの観光客が車で訪れます。そのため、住民が「3連休となると家から車を出せない」というほどの交通渋滞が起きていて、道幅が狭いためヒヤリとする場面もあるといいます。 また、観光客が私有地に無断で立ち入って飲食したり、大声で騒いだり、キャリーケースの車輪が転がる音など騒音も起きているということです。
地元漁師は「舟屋を守っているのは住民なので、住民のことを第一に考えてから観光業を考えてほしい」と話していて、行政は『交通整理・駐車場整備』『マナー啓発ビラ配布』などの対応を行っています。
一方で、「街の活性化につながるのでは」と期待する声もあり、「どんどん商店がなくなって寂しくなっていたが、観光客が増え、何軒か店がオープンした。若い人が来て店を運営し、華やかになっている」と話す住民もいました。
Q.伊根町だけの話ではありませんが、難しい問題ですよね?(慶応義塾大学大学院・准教授 武田秀太郎氏)「これは単純な話で、日本はオーバーツーリズムに甘すぎるんです。本家のベネチアでは、2024年から入島税を取るようになり、違反者からは罰金も取っています。仮に、伊根町も50万人から1000円を取れれば5億円になり、それだけあれば行政サービスも上げられます」Q.観光に税金を取るべき時期に来ているということですね?(武田氏)「京都市は一時、財政破綻寸前まで行きましたが、宿泊税で持ち返してV字回復し、今は黒字なわけですから、それを日本全体でやっていくべき時に来ています。日本人は、もっとしっかりとインバウンドから受益する仕組みを作らなければいけないんです。1800人しかいない伊根町で、一部の人しか受益していない状況をこのまま放置すると、場合によっては“町の分裂”につながりかねません」
(「情報ライブ ミヤネ屋」2025年9月23日放送)