【インタビュー】「モンハンワイルズ」×「FFXIV」コラボメディア合同インタビュー【TGS2025】

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【東京ゲームショウ2025】
会期:9月25日~9月28日
ビジネスデイ 9月25日10時~17時/9月26日10時~17時
一般公開日 9月27日9時30分~17時/9月28日9時30分~16時30分
会場:幕張メッセ
左から、カプコン「モンスターハンターワイルズ」ディレクターの徳田優也氏、プロデューサーの辻本良三氏、スクウェア・エニックス「ファイナルファンタジーXIV」プロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏

 カプコンは、プレイステーション 5/Xbox Series X|S/PC(Steam)用ハンティングアクションゲーム「モンスターハンターワイルズ」において、スクウェア・エニックスがおくるMMORPG「ファイナルファンタジーXIV」とのコラボを実装するタイトルアップデート第3弾を9月29日に配信する。

 このアップデートを記念して、「東京ゲームショウ」2日目となる9月26日にメディア合同での開発インタビューが行われた。スクウェア・エニックスから「ファイナルファンタジーXIV」プロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏、カプコンから「モンスターハンターワイルズ」プロデューサーの辻本良三氏、ディレクターを務める徳田優也氏らが登壇した。

【「モンハンワイルズ×FF14」スペシャルコラボ | 超高難度イベントクエスト「零式オメガ・プラネテス検証戦」紹介映像】

――「モンスターハンター:ワールド」に続き2回目のコラボとなりますが、改めてコラボのきっかけを教えていただければと思います

辻本氏:ご存知の方も多いかもしれないですけども、僕と吉田さんって、ものすごく仲良くさせて頂いていて。付き合いで言うと15年以上ぐらいです。当時も一緒に「モンハン」を遊んだりとかしていました(笑)。その時からずっと一緒に「何かできたら」っていう話はしていました。「一緒にゲーム作りたいね」とまで話をしていたぐらいだったんです。それぐらいすごく魅力のあるディレクターだと思っていて。

 吉田さんが「ファイナルファンタジーXIV」を担当されるということになって、その時からも何かできればっていう話はあったんです。その後、僕らも「モンスターハンター:ワールド」を作ることになり、すごくいいタイミングだなということで、まずはワールドで1度コラボレーションさせて頂きました。

 うちの開発スタッフにも「FF14」が好きなメンバーがいっぱいいますので、すごく面白いアイデアとかも出してくれまして。今回に関しましては「ワールド」のコラボレーションが終わった時だと思います。「また何か機会があればできたらいいですね」みたいな話はしていたんです。もちろん、こういうのってベストのタイミングであることがとても重要ですので。

 ちょうど去年の夏に開催された、ドイツの「gamescom 2024」でうちの開発のメンバーと吉田さんが会う機会があり、そこで「『ワイルズ』とできませんか?」とお話をさせていただきました。その後、去年のTGS期間中にそこのアパホテル会議場で打ち合わせをして、そこから決まっていった感じでした。

――本コラボで登場する「オメガ・プラネテス」は常設のクエストになるのでしょうか。それとも期間限定でしょうか。

徳田氏:試遊(TGSのブース)で出させて頂いている「オメガ・プラネテス」のクエストに関しましては、エクストラミッションのクエストとしてクリアして頂くと、フリークエストの方に並ぶような形で常設で遊べるクエストになります。

オメガ・プラネテス

――「モンスターハンターワイルズ」の世界観で登場するモンスターは全て“生き物”です。今回の「FF14」コラボで生き物ではない「オメガ・プラネテス」が選ばれた理由はなんでしょうか。

徳田氏:タイトルアップデートの第2弾で「セルレギオス」と「ラギアクルス」という、メイン級の復活モンスターが予定され、さらに第4弾では先日ご案内した「ゴグマジオス」というすごく巨大で飛行もする、熱線などの強力な攻撃を仕掛けてくるモンスターが予定されている中、そういうモンスターと食い味が重複しない、新鮮味のあるモンスターを「FF14」の中から選択していこうと考えていました。

 「FF14」の遊びの中ですごくいいなと思っているところとして、様々な範囲攻撃を重ねていきながら、プレーヤーに正解の道のりを選択させていく遊びがあります。ここが面白い部分だと思っており、そういうところで1番映えてくれるモンスターはなんだろうと考えた時に「オメガだとシナジーがあっていいのではないか」というのが1つありました。

 さらに「ワイルズ」が、“古代文明”をモチーフとするバックボーンを持っています。そういう設定面でもシナジーがあるモンスターですので、オメガを使わせていただけるようお願いさせていただきました。

吉田氏:ちょっとだけ補足をさせていただきますと、「FF14」に登場するオメガ、自己進化を遂げ続ける超古代文明が作り出したAIベースの……恐らくオメガ自身は自分を“生物”と強く思っている気がします(笑)。

 「FF14」のオメガには「果たしてAIや機械は心を持てるのか?」というテーマのストーリーが展開されてもいるので。詳しく言っちゃうとネタバレになるかもですが、素晴らしいストーリーを実装していただいているので、ぜひそこは「ワイルズ」で続きを見ていただきたいなと。うまく取り込んでいただいたかなと思っています。

――今回、参戦ジョブとして「暗黒騎士」と「ピクトマンサー」が発表されていますが、こちらのジョブ選定はどのように行われましたか?

徳田氏:「ファイナルファンタジーXIV」ってすごく歴史の長いタイトルですし、たくさんのジョブがあるというところで、去年のgamescomの時に「今、『ファイナルファンタジーXIV』で人気のある熱いジョブって何がありますか?」というのを吉田さんに相談させていただいたところ、「ピクトマンサーという絵を重ねて魔法を打つ、ビジュアル的にも面白いジョブがあるよ」とお話しいただいて、それを社内に持ち帰って色々と検討させていただきました。

 やっぱりビジュアル的にも面白いですし、絵を重ねていくところが「モンハン」にない、それでいてシナジーをもたらすような遊びにもなり得ると感じましたので、まずはピクトマンサーを採用させていただきました。

 さらにライトユーザーの方でも「ファイナルファンタジー」とのコラボレーションだということが一目見てわかるジョブを採用したいなということで、最初は「白魔道士」「黒魔道士」がアイデアとしてはありました。

 ですがピクトマンサーが魔法系の要素もありましたので、何か他にシナジーがあるものはないかと考えた時に、暗黒騎士が「ファイナルファンタジー」ではタンクジョブでありながら、自分の体力を犠牲にしつつアビリティを撃つジョブでしたので、そういう要素を「モンハン」に入れていったら面白いものができるのではないかと考え、暗黒騎士も使わせていただくようにお願いさせていただきました。

ピクトマンサー
暗黒騎士

――そうしますと「FF14」側からそのままの設定を持ってくる来るわけにはいかないと思いますが、「モンハン」なりの落とし込み方に苦労されたり、大変だったりした部分はありますか?

徳田氏:「MP」という概念がなかったり、クールダウンの管理の仕方だったり、アクションゲームとMMORPGでは違いますので、そのテイストを持っていきながら「モンハン」のアクションの中にいかに落とし込めるかというところです。

――オメガがまさか「パントクラトル」まで放ってくる場面には本当に驚きました。「FF14」のオメガのギミックを「ワイルズ」の世界に落とし込む時に、苦労したポイントや意識した部分はありますか?

徳田氏:楽しみとしては様々な兵器を駆使しながら、正解の位置取りを選んでもらう遊びが、アクション性に繋がっていくところにシナジーがあると感じています。

 ただ、それを打開する手段がMMORPGとは違います。ジョブロールみたいなものでできる要素もやや限られていますので、その1つの打開策に「防御障壁」というものを設けました。それを思いつくまでは結構難航しましたが、その部分が打開策の1つとして検証できてからは、やっと道筋が見えて色々な開発が進んでいった印象です。

――コラボクエストの難易度としてはどのくらいをイメージされていたんでしょうか?

徳田氏:「ワールド」には「ベヒーモス」がいますが、“ちょっとルールを理解すればクリアできるけれども……”というぐらいの難易度を目指しています。今回はサポートハンターが、色んな役割をある程度分担してくれますので、結果的にはベヒーモスより敷居が低い形になってるかなと思っています。

――吉田さんにお聞きします。オメガを「モンハン」側に預けてコラボレーションする際、ディレクションなどはあったのでしょうか?

吉田氏:「FF14」でレイドを遊ばれている方、特に「次元の狭間オメガ」のレイドを最後までプレイされている方って、そのままオメガがギタギタにされてしまうとさすがに心情的に辛いんじゃないか? というところがありました。

 なので、今回は“プラネテス”という別個体を作っています。これであれば恐らく思い切ってハンターとしてオメガと戦いつつ、従来の「FF14」側のオメガとのストーリーも楽しんでいただけるんじゃないかと。そこをこちらからご提案をさせていただいて、全力で作っていただきました。そこだけですかね。僕もオメガでいきたいって言われたときに「あ、パンクラあるもんね」っていう反応を最初にしていたので、非常に楽しみです(笑)。

――「FF14」側のコラボクエストの難易度は、今回のオメガ・プラネテスと同じくらいになるのでしょうか?

吉田氏:「FF14」のレイドやバトルコンテンツだと、複数の難易度のものを用意することが多いです。今回はカジュアルに遊んでいる方から、ハードコアにバトルコンテンツを遊んでいる方まで、全ての方に楽しんでいただけるように複数の難易度を用意してですね、自分にあった難易度でチャレンジをしていただけたらなと思っています。

 「FF14」だとMMOなので、ハウジングを楽しみにしている方だったり、おしゃれを楽しんでいる方だったり、それこそバトルが大好きっていう方まで本当にたくさんのモチベーションで遊んでいただいています。バトルを楽しみたい人はバトルで、報酬で着飾りたい人は報酬で着飾る。

 だからこそ、ハードモードでしか手に入らないみたいなのは今回作らないようにしています。ハードの方がドロップレートとかちょっと高くて集めやすいみたいなものはありますけれど、全方位に長らく楽しんで貰えるように作ったつもりなので、ぜひ、プレイスタイルに合わせて楽しんでいただきたいなと思います。

――今回登場するオメガ・プラネテスですが、「ネルスキュラ」や「ラバラ・バリナ」のような鋏角種骨格になるのでしょうか?

徳田氏:骨格は鋏角種ベースになりますが、ラバラ・バリナの動きを直接入れているようなことはありません。オメガのモーションはいただいていますし、アクションに適用させるために新規で起こしたものが中心です。リソースの使い回しはかなり少ないモンスターになっていると思います。

――「ネルスキュラクローン」について何か言及できることはありますか?

徳田氏:実際のミッションにおいてはストーリーベースでネルスキュラクローンにも役割が与えられていますので、それを認識した上で遊んでいただきます。段階を踏んで遊べるような存在になっています。

――双方のタイトルが近い時期にコラボをするのは珍しいと思います。お二人はこのコラボにどのような効果を期待されいますか? また、実現までの過程で困難はありましたか?

吉田氏:正直、プロデューサーという観点で言えば、それぞれのファンが盛り上がってくれればなと。それぞれのゲームをまだ手に取っていないプレーヤーたちのきっかけになればいいですね。たとえば、「モンハンワイルズ」のプレーヤーの方が「FF14」を手に取るきっかけになったり、逆も然りです。そういう機会を作っていこうと。建前はそうなります。

 冒頭で辻本さんが仰った通り、我々は15年以上純粋な開発者として会社を超えてリレーションを築いてきました。なのでどちらかと言えば、収益とか利益とかを抜きに、ゲーム業界が盛り上がるような「面白いことをやろうぜ!」というのが本題ではないかと思います。これによって両方の開発チームが大きな刺激を受けて、新しい物に取り組めます。そこが、ゲーマーにとってもファンにとっても、我々にとっても効果としては大きいところなのかなと思います。

辻本氏:プロデューサー目線の効果としては一緒です。コラボレーションしている以上は、お互いのタイトルで遊んでいない方に遊んでいただきたい、という気持ちはやっぱりあります。ただ、ここまで大きなコラボレーションになると簡単にできることではなくて、お互いの信頼関係がないと本当にできないんです。

 お互いの相性であったり、お互いのゲームに向き合う姿勢だったり、考え方であったりとかですね。だからこそアイデアを出せますし、逆もそうです。信頼しているからこそ、今回のような規模でコラボができると。ここは凄く重要な部分かなと思います。

吉田氏:両者のスケジュールコントロールが難しいということもありますが、「できれば両方やって貰うために完全に重ねるのは避けましょう」と。

辻本氏:(笑)。

吉田氏:なぜなら「FF14」の光の戦士たちは兼ハンターだったりしますし(笑)。ハンターの皆さんも時折ヒカセン(※「光の戦士」の略称)になる方もいらっしゃるので、同時にやってしまうと、どっちもやらないといけなくて大変ですよね。そこだけはせめて時期を空けて、プレーヤーの方がどっちも全力で楽しめるようにと話し合って決めさせていただきました。

――シンプルにプレーヤー目線でオメガと戦った感想があれば一言ずつお願いします。

吉田氏:僕、完成した最終バランスで戦うのは、ぶっちゃけこの後のリハーサルで初なんで……(編集部注:吉田氏は9月27日のステージイベントで「オメガ・プラネテス」に挑戦。そのリハーサルだと思われる)。正直、インタビューどころじゃないんですよ、気持ち的に(笑)。皆さん(記者陣)は先にプレイされているじゃないですか、ビジネスデイで。その状況をちょっとお聞きして「ヤベェ!」ってなってるので(笑)。……リハって何時間くれんのかな? って感じです(笑)。

一同:(笑)

【TGS2025 カプコン ステージライブ<Day-1>9/27(土)10:20~|東京ゲームショウ2025】

辻本氏:やっぱり「モンスターハンター」の世界では中々できないことを、コラボレーションということでチャレンジできることがいっぱいあって。それは遊びの部分でもそうですし、絵的な部分でもそうなんです。なので、やっぱり難易度云々よりも、初めはこのインパクトっていうところから入って貰えるんじゃないかと思っています。

徳田氏:TGSの試遊版と製品版ではルールが違うところもあります。開発スタッフとかテスターさんがプレイしている感じからすると、初回は凄く難しかったと感じられるようにはなっていますが、数回のプレイで大体の方がクリアできる形になっています。なので、今はTGS試遊版を楽しみつつ、製品版をプレイしていただけたらと思っています。

――今回のコラボで「モンハンワイルズ」側に「ヒナチョコボ」など他のチョコボが登場する場面はありますか?

徳田氏:スクエニさんのブースにも「でぶチョコボ」がいたり、凄く色々なバリエーションがあって、我々のチームでも色々なアイデアが出ましたが、今回は「ファイナルファンター」の王道のチョコボをお借りして、チョコボにになり切れるセクレト、としました。乗った時にはBGMの演出もありますので、まずはそうしたところをしっかり楽しんでいただければと思います。現状、「ヒナチョコボ」などは出ない形になります。

――今回のコラボを踏まえて今後さらに両タイトル間で広げたいアイデアだったり、将来的に目指しているコラボの形はありますか?

吉田氏:実際のところ僕の中では、前回「ワールド」でコラボさせていただいた時にちょっとやり残した部分があったなという後悔がありました。カプコンさんには全然お話ししていませんが、アライアンスレイドとして丸2年がかりで「モンハン」をテーマにしてはどうだろう? というのを議論したくらいです。

辻本氏:(笑)。

吉田氏:それくらい双方が盛り上がって、双方面白いことができて、双方の開発チームの進化して、お客様のクロスオーバー成し遂げられる。それができるのは“面白い”が一番かなと思っています。あまりアイデアに制約をつけずに、双方のお客さんにクロスオーバーを楽しんでいただいて、そのフィードバックを拝見したいなと。

 せっかくこれだけリレーションが強くて、辻本さんにも「相性が本当に素晴らしい」って言っていただいているのであれば、また何かやれる機会が……あればぜひしたいなぁと思っています。まずは今回のコラボを全力で楽しんでいただいた上でかな、という感じですね、ウチは。

辻本氏:冒頭でも言いましたが、吉田さんとは15年以上の付き合いですし、多分これからも付き合っていただけるかなと思っています(笑)。何か一緒にやる可能性は全然あると思いますが、やればいいものでもないとも思っています。

 重要なのは、プレーヤーにとって、凄くインパクトがあるタイミングです。ちゃんとしたものがお互いに提供できるタイミング、アイデアを盛り込むべきタイミング、そこら辺はちゃんと考えながら、今後を見ていきたいなと。「これからも何かしたいなぁ」とは常に思っていますが、どのタイミングで何をしようというのが現時点であるわけではありません。

――本日はありがとうございました!

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