生きる道を守備に見つけた黒子…昌平エース格と対峙した大津MF福島悠士が任務遂行、感じた力量差は今後の成長の糧に
[7.31 総体準々決勝 昌平高 0-5 大津高 JヴィレッジP1]
大津高(熊本)の中盤には、2人の「福島」がいる。10番を背負い、キャプテンマークを巻くのがMF福島京次(3年=ロアッソ熊本ジュニアユース)。中盤の真ん中で攻守両面に関わるキーマンだ。その少し後ろ、中盤の下がり目の位置にもう一人、背番号6のMF福島悠士(3年=DESAFIORA.FC)がいる。苗字が同じだけで兄弟ではないのだが、どちらも欠かせぬ存在だ。
福島悠は、中盤の掃除屋とでも言うべき役割を持つ黒子役。準々決勝の昌平戦では、中盤の主導権争いで重要な役目を果たした。ポゼッションに定評のある相手に対し、中盤で自由を与えず、前進を阻んだプレーについて「自分の武器は、守備で相手のキーマンや流れを潰すところ。そこは、絶対に負けたくないです。相手のボランチに対抗心を燃やしながら、しっかり戦うことができて良かったです」とこだわりを示した。特に、イレギュラーな形で行われた後半は、大きな仕事を任された。試合は、前半を終えたタイミングで中断(※津波警報の影響)。約24時間後の翌朝に再開を迎えた。前半で2点のビハインドを負った昌平は、後半開始と同時に選手を3人交代。布陣も変更してエンジン全開で攻撃を仕掛けてきた。1トップから2トップに変更するとともに、左サイドのアタッカー役だったU-18日本代表MMF長璃喜(3年=FC LAVIDA)をトップ下に置いた。
変更に気付いた山城朋大監督が対応を任せたのが、福島悠だった。相手エース格と対峙した感想を聞くと「やっぱり、一瞬のスピードは、桁違い。そこでは、差を見せつけられた」と相手の力量に驚きを隠さなかったが「ボールを持っていないときに、どう寄せるか。やっぱり、自分はオフ(・ザ・ボール)の時に戦うべきだと感じて、絶対に頭(の集中力)を切らさずに(決定的な)仕事をさせないということができたので、そこは個人的に良かったと思います」と対抗策を講じて無失点を貫いた手応えを語った。 DESAFIORA.FCに所属していた中学時代は、攻撃的なプレーが持ち味だった。だが、全国トップクラスの強豪である大津に進学し、仲間たちの技術力の高さを目の当たりにし、自分の生きる道を考え直したという。1年、2年と、なかなかトップチームのポジションを奪えずにいる中で「何が足りないか、どういうところで勝負をしたら上に行けるかを考えた。足下の技術は高い方ではない。フィジカルなら、比較的ある方。だったら、守備面でほかの人と違いを作れたら、上に行けるんじゃないかと思った」と朝練習、自主練習で徹底的に守備を強化。昨年後半からトップチームで起用される機会も増えて行った。 相手エース格との対峙も、今後のさらなる成長の糧だ。「良い経験ができたけど、同時に相手のすごさも十分に感じた。スピード面に差を感じたし、距離を取ってから寄せるとかわされる。(ボールを持たれてからの1対1では)寄せ方が通用していない感じだった。アジリティなどの能力の部分もそうだけど、やり方も、もっと上のレベルで通用する方法を身につけたい」と肌で感じた課題から、進化のイメージを描いていた。 準決勝は、流通経済大柏との対戦。昨冬の全国高校選手権で先輩たちが敗れた相手だ。福島悠は、昨夏に広島で行われた親善大会での敗戦も記憶に残っているといい「因縁の相手というか、絶対に倒さなければいけない相手だと思う。明日は本当に、絶対に負けない、勝つという気持ちを強く持って、自分が守備で潰して勝ちたい」と意気込んだ。生き残る道を守備に見つけた黒子役が、強い覚悟で中盤の制圧にかかる。
【PR】ニューバランスフットボールから 「TEKELA ELITE HG」がバージョンアップして登場! ボールをコントロールするプレーヤーに向けて設計されたコントロールモデル「TEKELA」トップモデルがv5へと進化。軽量マイクロファイバーとグリップ加工で直感的なタッチを実現し、一体型ニットカラーが足首を包み込むようにフィット。さらに改良されたナイロンアウトソールが360度のトラクションで加速をサポートする一足となっている。 「FURON」「442」とともに、それぞれの最新カラーや最新シリーズがラインナップされている。
(取材・文 平野貴也)●全国高校総体2025特集▶話題沸騰!『ヤーレンズの一生ボケても怒られないサッカーの話』好評配信中