トランプ米大統領、中国との間で新たな貿易合意取りまとめは可能
トランプ米大統領は19日夜(日本時間20日午前)、中国との間で新たな貿易のディール(取引)で合意を取りまとめることは「可能だ」と述べ、米中貿易紛争の激化回避にオープンな姿勢を示唆した。
トランプ氏は大統領専用機で記者団に答えたもので、中国との間で「素晴らしいディール」を過去にまとめたとした上で、習近平国家主席を称賛し、習主席とは「素晴らしい関係にある」と語った。
ただ、ディールの枠組みには言及せず、習主席と直接話すのかどうや、会談する場合、いつになるかも明らかにしなかった。
トランプ氏の発言を受け、中国人民元は20日の取引で上昇。オフショア市場で一時0.2%となり、オンショア人民元は0.1%高となった。
トランプ氏は中国から米国への違法薬物の流入や、中国の不公正貿易慣行を理由に10%の対中追加関税の賦課に踏み切っており、何らかの合意を目指すとしても大きな障害に直面するのは必至の情勢だ。
米納税者に一部還元も
トランプ氏はこれに先立ち、フロリダ州マイアミビーチで開催のイベントで演説し、イーロン・マスク氏率いる「政府効率化省(DOGE)」の取り組みを巡り、連邦政府のコスト削減の成果の一部を米納税者に還元し、もう一部を連邦債務の削減に充てる可能性を示唆した。
トランプ氏はサウジアラビアの国際投資会議「フューチャー・インベストメント・イニシアチブ(FII)」で基調演説を行ったもので、「DOGEによる節約はすごい数字であり、節約分の20%を米市民に与え、20%を債務返済に充てる新たな構想を検討中だ」と話した。
トランプ氏が掲げたアイデアはマスク氏が先に言及しており、DOGEの取り組みの正当化にトランプ氏が努めていることを示す最新のシグナルと言える。マスク氏が推進する連邦政府の支出や職員の削減は提訴に直面し、その権限を巡り疑問の声が上がっているほか、大幅な支出削減の野心的目標が達成可能か疑問視されている。
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トランプ氏はまた、政権1期目に成立した「トランプ減税」の延長も含め、減税措置の可決のために議会と協力すると述べるとともに、米国の石油・ガス生産者向けの大幅減税の方針も示した。
このほか、自動車や半導体、医薬品に対する輸入関税に加え、木材についても来月に関税賦課を発表する予定であることを明らかにした。トランプ氏はその後、大統領専用機で記者団の質問に答え、木材への関税率は25%程度を考え、4月2日ごろの実施となりそうだと述べた。
一方、基調演説では財政均衡化を巡り、今年かもしれないし、来年かもしれないと発言。「それについて約束したくない」とした上で、「今年ではないかもしれないが、今年になる可能性もある」と語った。
原題:Trump Says New China Trade Deal Is ‘Possible’ Despite Tensions、Trump Floats Giving DOGE Savings to Public, Defending Cost Cuts、Trump Says He Will Extend Tax Cuts、Trump Says He Will Put Tariffs On Lumber、Trump Says Balanced Budget May Come This Year or Next Year(抜粋)