米関税、創意工夫で影響緩和可能な水準=ジェトロ理事長

 7月24日 日本貿易振興機構(ジェトロ)の石黒憲彦理事長は24日、都内で記者会見し、米国による対日相互関税が15%で決着したことについて「関税率がなかなか決まらないことの機会損失もまた大きくなっていた。そういう意味では(交渉期限だった)8月1日を待たずに決着したことはとても良かった」と語った。写真は米国と日本の国旗。2024年4月、米ワシントンで撮影(2025年 ロイター/Kevin Lamarque)

[東京 24日 ロイター] - 日本貿易振興機構(ジェトロ)の石黒憲彦理事長は24日、都内で記者会見し、米国による対日相互関税が15%で決着したことについて「関税率がなかなか決まらず、不確実性から意思決定ができないことによる機会損失も相当大きくなっていた。そういう意味では(交渉期限だった)8月1日を待たずに決着したことはとても良かった」と語った。

関税の負担については「いろいろな創意工夫で影響を緩和することが可能な水準だ。日本の産業界、農林水産物、食品の事業者がこれを機にまた一段、競争力を高めて強くなってくれることを期待している」とした。製品の付加価値や価格転嫁力の向上が重要と指摘した。

その上で「日本企業はこれまで数カ月間、散々シミュレーションとケーススタディーをやってきたので、いざ決まれば今後の行動は極めて速いと思っている」と述べた。

関税の具体的な適用については「正直なところ、今の段階ではホワイトハウスの発表資料ぐらいしか実際には公表されておらず、詳細についてはまだまだこれからという部分が多い」とし、把握した情報を迅速かつ正確に日本企業に提供していくと話した。

日本企業が製造拠点を構える東南アジアではベトナムが20%、インドネシアが19%など、日本より高い関税率で決着する国が出ている。石黒理事長は「数字だけ単純に言えば日本から輸出した方が実は得かもしれないということになる。企業はその辺のことも含めて頭の体操をして意思決定していくということになると思う」と述べた。

米国の通商政策の展望については「(トランプ)政権誕生の経緯や『MAGA(米国を再び偉大に)』を支持している政治状況を考えると、そう簡単に変わるとは必ずしも思えない」とし、政権が代わっても維持される可能性が高いと指摘。日本の今後の対応として、米国に対して日本との連携が富をもたらすことを理解させる一方、自由貿易秩序を尊重する「同志国」との連携を深める必要があると述べた。

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