Android版Chromeがようやくアドレスバーの下部配置に対応(Forbes JAPAN)
■なぜ実装までにこれほど時間がかかったのか 一見単純な機能にもかかわらず、グーグルが正式展開を遅らせた経緯には疑問が残る。下部アドレスバーの構想は2016年、Chrome Homeプロジェクトの一環として浮上した。当時のベータ版で短期間試験されたが、最終的に棚上げされた経緯がある。 元Google Chromeスタッフ・インタラクションデザイナーのクリス・リーはこう振り返る。「この機能はテクノロジー愛好家の間で熱烈に支持されましたが、多くの一般ユーザーには戸惑いを与えました。Chromeは世界中の何十億ものユーザーが利用しており、技術に関するリテラシーもさまざまです。数度の試作を経て、Chrome Homeを正式リリースしても全員の利益にはならないと判断しました」。 GoogleはAndroid版Chromeの「Dev」(開発版)リリースで下部検索バーの実験を続けていたが、これまで標準リリース版では全員が利用できる機能にはしなかった。この遅れにより、多くのユーザーがなぜグーグルが競合他社に追いつくのにこれほど時間がかかったのか疑問に思っていた。9年近く前に機能をテストしていたにもかかわらずである。 アップルの経験がこれと関係があるかもしれない。アップルはiOS 15でSafariの検索バーを画面下部に物議を醸しながら移動したが、ユーザーからの大きな抵抗に遭い、上部に戻すオプションを追加することになった。ただし、デフォルト設定は画面下部に留まったままだ。 Firefoxは2020年に同様の機能を導入し、Microsoft Edgeは今年の初めに下部検索バーオプションを展開した。これにより、Android版Chromeは、現在すべての主要ライバルが装備する機能を持たない唯一の主要ブラウザーとなっていた。これが事実上グーグルに最終的な決断を下させて、すべてのChromeユーザーに機能をリリースすることとなった。 ■Chromeの新しい下部アドレスバー:残る課題 Chromeが最終的に下部検索バーを実装したのは良いことだが、これまでのところユーザーからの反応は賛否両論だ。最近のRedditの投稿では「ああ、ついに。何年もこれを望んでいた」というものから、「試してみることにして下部に設定したが、まだ上部にあるままだ」まで様々な反応が明らかになっている。 一部のユーザーは、検索バーが上部と下部の位置で不規則に切り替わることや、その他のUIとの一貫性の欠如を報告している。グーグルはこれらの問題の一部を認識していて、すでに修正に取り組んでいる。 グーグルは、この機能の実装で遅れをとったが、Chromeは約68%の世界市場シェアを維持し、支配的なモバイルブラウザーであり続けている。Chromeが下部検索バーを提供しない唯一のプレイヤーにならないことで、グーグルがこのリードを維持するのに役立つだろう。だが、試してみる場合は、初期の問題に備えておく必要がある。
Paul Monckton