米富裕層の「安住の地」ニュージーランド-住宅購入禁止がネック

米国の富裕層が「安住の地」としてニュージーランドに注目し、ニュージーランド政府が外国人の大半を対象に設けてきた住宅購入禁止措置を緩和することに期待を寄せている。海外投資アドバイザーが明らかにした。

  ニュージーランドがゴールデンビザ(査証)制度を刷新した先月以降、米国の投資家が寄せる関心は急増しているが、住宅購入ができないことが依然として障害になっている。オークランドの法律事務所クイーン・シティ・ローのマネジングディレクターでこの問題に詳しいマーカス・ビバリッジ氏が語った。

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  同氏が「ゴールデンビザ制度で居住ビザを取得した人には、家族用住宅の購入を認めるのが理にかなっている」とし、投資家が家を買えないというのは「非常に受け入れがたい」と強調した。

  スタンフォード移民相は先月、政策変更について、連立政権内の「リーダーレベル」で協議が行われていると述べた。22日の予算案で規制緩和が発表されるとの臆測もあるが、政治家からはそのような示唆はない。

  ラクソン首相は21日に記者団に対し、外国人住宅購入解禁が「投資誘致の全てではない」と発言した。

   深刻なリセッション(景気後退)に昨年見舞われたニュージーランドは、経済成長を促し、新たなインフラ整備の資金源となる外国資本を求めている。

  南太平洋にある同国は、美しい自然景観と政治的安定性を併せ持つ安住地として富裕層に人気がある。

  政府が外国人投資誘致のために打ち出した目玉政策の一つが、ゴールデンビザの刷新だった。

  英語能力要件の廃止や投資家が国内で過ごす必要のある期間の短縮、最低投資額の引き下げ、投資カテゴリーの簡素化などが実施された。

  政府データによれば、制度変更から6週間で、346人を対象とした104件のビザ申請が提出された。これは、旧制度下で過去2年半に受け付けられた件数とほぼ同水準。投資額としては、最低でも6億2000万NZドル(約530億円)を意味する。しかも、申請の半数以上が米国からだ。

  オークランドの高級不動産会社レガシー・パートナーズのジム・ロースタッフ氏は、NZ国内で住宅を買いたいとする米富裕層からの「潜在需要は非常に大きい」と述べた。

  米国とニュージーランドの二重国籍を持つ同氏は、「世界的な政治情勢だけが理由ではなく、米国人は昔からニュージーランドに強い憧れを持っている。ここは本当に美しい国で、あらゆる場所から遠く離れている」と語った。

  ニュージーランドで不動産を購入できるのは現在、国民および税務上の居住者のほか、オーストラリア人とシンガポール人に限られている。過去の協定に基づくものだ。

  高級ゴルフ場の開発を手掛けるロースタッフ氏は、ホテルではなく、長期滞在の場所を求める米国人富裕層との接触が増えていると言う。「彼らは全国の素晴らしい高級ロッジに滞在しているが、それにも期限がある」と話した。

  ビバリッジ氏は住宅購入禁止解除は時間の問題だとみている。

原題:Rich Americans Ready to Buy If New Zealand Eases Housing Ban (1)(抜粋)

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